療養食・食事療法の基礎知識

更新日:2009年08月10日

療養食・食事療法で知っておくべき6つの心構え

食事療法は、自己管理が大切! 毎日少しの改善が、長期的に大きな違いをもたらします。肩の力を抜いて上手に取り入れて、食事療法を楽しみましょう!

食事療法は食材を楽しむ方法の一つ! ネガティブに考えずにスタートしましょう

食事療法は食材を楽しむ方法の一つ! ネガティブに考えずスタートしましょう

毎日の工夫が大きな違いにつながる療養食・食事療法。長く続けることが大切ですが、「食事を厳しく制限されそう」「管理が大変そう」と精神的に負担感を感じる人も少なくないようです。

まずは肩の力を抜いて無理なく長く続けられるよう、療養食を始める前に知っておくべき6つの心構えをご紹介します。
 

「療養食=制限食」と思わない

一般的に療養食というと、「制限される」というネガティブなイメージが強いと思います。患者さんにも驚かれることが多いのですが、わずかな例外を除き、食事療法で食べてはいけないものは基本的にありません。大切なのは量の調整。

食事療法では控えなくてはならない食品や料理にばかり目が行きがちですが、たっぷり楽しめる食品や献立は星の数ほど存在します。和食だけでなく洋食・中華・エスニックなど、海外のお料理にまで食事の選択肢を広げるのも、
色々な味を楽しむ方法の一つ。食事療法も捨てたものではありません。

「こってりした食べものは減らす代わりに、野菜、豆、魚、脂身の少ない肉、果物をふんだんに使った食事を楽しむ」と言い換えれば、「療養食=制限食」という気持ち的な負担感が軽減されるはずです。

最初から完璧を目指さない

管理が上手くいかないからとストレスを抱えてしまうと、療養食は長続きしません。食事は生活の一部で、買い物や調理の他、外食や中食の習慣など多くの要素を含み、改善は簡単ではありません。健康のために毎日運動を始めるのも大変ですが、急に理想の食事療法をスタートするのは比較にならないほど難しいことです。

患者さんの中には、「塩を使うのをやめた」「牛肉・豚肉を食べるのをやめた」など、大きく食生活を変える人もいますが、急にこのような大胆な方法を取る必要はなく、少しずつ改善を続けることが長続きの秘訣です。

例えば、ラーメンなどのこってりしたものや、味付けの濃いものが好きな人は、意識的に少しだけ薄味の料理を選ぶところからスタート。最初は物足りない感じがしますが、舌が慣れてくると、こってりしたものを食べたい頻度が減ってくるはずです。薄味食材の楽しさや、野菜や果物の歯ざわりや色彩を楽しめるようになれば、精神的な負担を抑えた状態で食事療法を成功させることができます。移行を数週間でやりとげる人もいれば、数年かかる人もいます。少しずつでも着実に改善していくことが大事です。

料理を出してくれる人に感謝する

医療現場でも、患者さんを支える家族の方からの悩みや不安の声は少なくありません。「薄味の料理だとまずいと言われるので、こってりした料理に戻したら、夫の病気が悪化した」「毎回おいしくないと文句を言われてストレスを感じる」など様々。心配してくれる家族や友人がいるのはとても幸運なこと。当たり前のことですが、療養食の管理を家族に委ねる場合は、感謝する気持ちを持ってください。

少なくとも、極端に濃い味やこってりしたものに慣れてしまった自分の味覚を棚に上げて、「おいしくない」という暴言を吐くのはやめたいものです。

目先にとらわれず、長い目で見る

「○○に効く」という話を信じ、特定栄養素や食品ばかりを摂取するのは逆効果。摂取量や組み合わせによっては健康を害してしまうこともあります。食事療法には、長期的な地道なアプローチが必要です。少しの改善でも長期的には大きな違いにつながるので、肩の力を抜いて毎日の食事療法を積み重ねるようにしましょう。

食事療法の目的をしっかりと知っておく

なんとなく言われたままの食事療法を始めるのもお勧めできません。食事療法を指示された理由や、どのような効果があるのかをしっかり医師に確認するようにしましょう。人それぞれの生活パターンを把握しないままのアドバイスは、実行自体が非常に負担になることがあります。不要な努力でQOLを落としてしまうこともあります。食事療法の目的は何か、自分の生活スタイルでも現実的な改善は何かを知るだけでも、継続がスムーズになります。

また、断片的な知識で特定の食材や栄養素を除くと、今度は栄養バランスが悪くなったり栄養不足になることも。病院には管理栄養士が勤務しているので、疑問がある場合や食事プランを立てたい時には相談するようにしましょう。

定期的に専門家に相談する

以前担当した患者さんの中には、5~20年以上前に医師に指示された食事療法をそのまま続けているという方々がいました。当然ですが、体の状態や症状、治療法は年々変わり、より適切な食事療法が薦められる場合もあります。栄養学の研究で昔はよいと言われていた療法や食品が、実はあまり効果がなかったり、逆効果だったというケースもあります。

長く続けるからにはしっかり効果を出したいもの。少なくとも数年に1度くらいは、適切な食事療法について栄養士や医師に相談しましょう。効果的で豊かな食生活のためにも、不適切な食事療法や不必要な食事制限は避けてください。
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この記事の担当ガイド

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一政 晶子

管理栄養士、米国登録栄養士(RD)、米国栄養サポート臨床師(CNSC)、臨床栄養学修士。急性期病院の…

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