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抗生物質の副作用・注意点

【薬剤師が解説】感染症治療で処方される抗生物質(抗菌薬)。いずれもそれぞれの病気に合わせて処方されます。一定の間隔で最後まで飲みきることが非常に大切です。抗生物質の正しい飲み方、副作用、他の薬や食べ物との飲み合わせや飲酒などの禁止理由について解説します。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

抗生物質(抗菌薬)の飲み方……正しい服用で効果。耐性菌リスクも減

薬

抗生物質は決められた飲む時間を守り、処方された日数分を必ず飲みきることが大切です

感染症の治療薬は、感染原因の菌やウイルスなどを殺していくことが目的なので、必ず決められた時間、回数を守って服用することが大切です。
治った感じがしても菌やウイルスが完全になくなるか、それによる感染状態が弱まり、自己治癒力で回復できるような日数を考えて処方されています。
それゆえ、処方日数の間は忘れずに服用しなければ、正しい効果を得ることができません。

また、抗生物質(抗菌薬)や抗ウイルス薬などの感染症の薬は、食後服用になっていることが多いですが、「時間がなくて食事ができないから、食事ができるまで飲まない」という考えは誤りです。
感染症薬の場合には、食後と指定しているのは飲む回数と間隔を決める目的であることが多く、薬の刺激から胃を守るのが目的ではないことがほとんど。処方時、薬剤師に食後にこだわらなくてもよいかを確認の上、食事が取れなくても時間になったら服用するようにしてください。

感染症治療薬は決められた間隔で処方日数分服用しないと、菌やカビ、ウイルスなどを殺すために十分な薬剤成分でなくなり、治癒が遅くなることも。
それだけではなく、薬が効かない「耐性菌」が生まれてしまうことがあるので、十分注意が必要です。抗ウイルス薬や抗真菌薬なども含め、抗菌薬などの感染症治療薬は必ず決められた回数、間隔で飲むようにしてください。耐性菌については「スーパー耐性菌とは…悪夢の耐性菌の予防と治療法」もあわせてご覧ください。

抗生物質の副作用……下痢・カンジダ腟炎・胃症状など

抗生物質(抗菌薬)などの感染症の薬を過剰に怖がることはありませんが、抗生物質の主な副作用として体の状態を保っている常在菌のバランスを崩してしまうことが挙げられます。

下痢
腸内細菌のバランスが崩れた場合に起こる

カンジダ腟炎
抗生物質で体内にいる常在菌を一緒に殺してしまうことで、その常在菌の働きで抑えていたカビが繁殖して起こる

また、抗生物質が効かない「耐性菌」が発生して感染症が悪化することもあるので、抗生物質を自己判断でダラダラと飲み続けるのは避けましょう。

抗生物質の種類によって特徴的な副作用が出ることがあります。詳しくは「カンジダ腟炎の症状・原因」をご覧ください。

■胃症状(胃の痛み、もたれ)
抗生物質の種類や人によっても異なりますが、服用後に胃の症状を訴える方がいます。抗生物質は食事のことを関係なく飲むこともできると書きましたが、胃の症状が酷い場合にはなるべく食後の方がいいかもしれません。ただ、食後に飲んでも胃の症状が起こる可能性が高いです。

胃が痛い、キリキリする、もたれる、気持ち悪いという訴えが多いです。特にアジスロマイシン(製品名:ジスロマック)という薬剤でよく訴えを聞きますので、酷い方は、医師に相談して胃薬を同時に処方してもらうか、市販の胃薬(胃粘膜保護系がいいとおもいます)を使ってみてください。

あまりにも酷いようでしたら、他の抗生剤ではダメかどうか医師に相談してみるのもお勧めします。

■耳鳴り

耳鳴りの副作用は、放っておくと難聴になることもあるので、すぐに服用を中止しましょう。なお、耳鳴りは、キーンという高音だけでなく、ジー、ザー、シャーッといった比較的低音のものもありますので、注意が必要です。前者は、内耳や聴覚中枢。後者は、中耳・外耳の障害や難聴で起こります。

けいれん
全身性のけいれんや、手足など体の一部分のけいれんが起きる

光毒性
日に当たるとやけどのようになる

歯の着色
歯がグレーっぽい色になる

横紋筋融解症
コレステロールの薬でも有名な副作用で、茶褐色の尿が出たり、特に思い当たることがないのに、筋肉の痛みなどを感じたりする。症状が出た場合は、医師に服用の相談と血液検査をしてもらうようにしてください。

また、抗生物質に限らず全ての薬に言えることですが、服用後に湿疹が出たり、息苦しさを感じたりと、異変を感じた場合は服薬を続けず、すぐに医師・薬剤師に相談することが大切です。

■アナフィラキシーショック
湿疹や皮膚が赤く腫れてきたり、気分が悪く息苦しくなってくるのは、アナフィラキシーショックという極めて重篤な副作用の前兆。直ぐに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶようにしてください。

抗生物質と他の薬・食品・アルコールの食べ合わせ

抗生物質と他の薬を一緒に飲むと、抗生物質の効き目が強くなったり弱くなったりする他、同時に服用した薬の効き目が変わってしまうこともあります。それにより副作用が強く出たり、薬が効かなくなるなどの作用を起こすことがあるので、他に薬を服用している場合は必ず薬剤師に伝えるようにしましょう。

また、抗生物質の中には牛乳などカルシウムが多く含まれる食品と一緒に服用すると効果が落ちるものもあります。食事の代わりに簡単な乳製品を摂るのを避けた方がよい場合もあるので、薬剤師に確認してください。

もちろん、アルコールと一緒に服用するのは厳禁。アルコールには、血管拡張の作用がありますので、感染症の悪化が懸念されます。抗生物質の服用中に飲み会などがある場合は、乾杯だけに止めて飲酒は控えるようにしましょう。
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