子供の病気/子供の健康管理・小児科受診のポイント

医療機関で医師に伝えるポイント

子どもの症状をうまく伝えることは、より早く正確な診療の助けになります。まだ上手く話せない子どもに代わって、症状を伝えるポイントをまとめました。症状を簡潔にまとめて、上手に病院を活用しましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

子どもが急に体調を崩すと、親も冷静さを失ってしまい、症状や経過を上手に伝えられなくなることがあります。私たち小児科医にとって、子どもを普段から見ている親御さんからの情報は、病気を見つけるための検査や診断の大きな手助けになります。

以下に、診療時に教えてほしい項目をまとめました。 医療機関に行く時には、診察時間内で、なるべく分かりやすく子どもの状態を伝えるようにしてください。できればメモなどをしておくと、伝え忘れなどがなく安心です。

子どもの状態を正しく把握しましょう

子どもの状態をまずは観察してみてください。私も心がけていますが、小児科の医師は、診察室に入ってくる時から診察が始まり、診察し部屋を出ていく最後まで子どもの状態を診ています。

問診票などを使って、症状をチェック。書くことで冷静になれます

問診票などを使って、症状をチェック。書くことで冷静になれます

  • 意識はあるか、ぼーっとしていないか
  • 元気に返事をしてくれるか
  • 普段通り遊んでいるか
  • 食欲は普段通りあるか、ないならいつもよりどれくらい少ないか
  • 水分は摂取できているか
  • 普段の元気さを100としたとき、今は100か50ぐらいか、元気がなく0に近いか
  • 機嫌はいいか、特にあやすと笑ってくれるか

など、子供はなかなか自分で言ってくれませんので、母親、父親の子供の観察が大切です。


子どもの症状の伝え方

■発熱の伝え方
発熱はよくある症状ですので、発熱の程度や期間について、できるだけ詳しく伝えることが大切です。発熱の場合、顔の赤さや元気のなさに気づき、体温を計って分かったという方が多いです。

  • 発熱の時期 : 3日前、○月×日から、朝から、夜から など
  • 熱の高さ : 37度台の微熱、39度以上の高熱、38度程度 など
  • 熱の推移 : 夜になると上がる、1日中高熱、2日おきに熱が出る など

ワンポイント:小さい子供ほど、38度以上の高熱が頻繁に出ます。熱が高い割に元気な事があり、40度近くあっても元気な子もいます。発熱があっても元気かどうかも伝えてください。

■痛みの伝え方
乳児は泣くだけですが、幼児になると痛い所を指し示してくれます。どこを触ると泣いたり嫌がるかなどを医師に伝えてください。乳幼児の場合、医師は痛がる箇所を触りながら、子どもの表情を見ます。

  • 痛みの場所 : お腹、頭、背中、足 など
  • 痛みの時期 : 3日前、○月×日から、朝から、夜から など
  • 痛みの特徴 : ズキンズキン、チクチク など
  • 痛みの強さ : 我慢できないくらい、少し痛い、思い出したように痛い など
  • 痛みのきっかけ : 食事前、運動した時、テレビを見ていた時 など
  • 痛みの推移 : 毎日痛い、夜に痛い 朝だけ痛い、1日中痛い など

■咳の状態の伝え方
咳の仕方で、診断ができる病気もあります。オットセイの鳴き声のようなオゥオゥという咳は喉の病気、ゼイゼイという呼吸音が続く咳は喘息のことが多いです。咳は、小さな子どもの方が長く続きます。痰が出しにくく、咳きこみし過ぎて吐くことがあります。痰が上手に取れた場合、結核菌などの細菌検査ができるので持参してください。フタのついたきれいな容器に入れて持っていくとよいでしょう。

  • 咳の特徴 : 痰がからむ、乾いた咳をする など
  • 咳の時期 : 3日前、○月×日から、朝から、1ヵ月以上続く など
  • 咳の強さ : 吐くほど咳き込む、咳で寝れない、軽く咳をしている など
  • 咳のきっかけ : 走ると咳が出る、寝ている時に咳をする など
  • 咳の推移 : 毎日咳をする、朝と夜だけ咳をする、1日中咳をしている など

■鼻水の状態の伝え方
子どもの場合、鼻の空間が狭いのすぐ鼻づまりを起こします。鼻をかめない子どもは、治るのに時間がかかってしまいます。鼻水を吸引すると、ましになります。市販の器具で吸ってあげて、吸った鼻水を持参すると菌の検査することができます。鼻を吸う器具には、容器がついているので、それを持っていくとよいでしょう。

  • 鼻水の特徴 : 透明、青鼻、濁っている など
  • 鼻水の時期 : 3日前、○月×日から、朝から、1ヵ月以上続く など
  • 鼻水の強さ : 1日中出ている、鼻づまりがある など
  • 鼻水のきっかけ : 熱いものを食べると出る、寝ている時に出る など
  • 鼻水の推移 : 毎日鼻水が出る、外に出ると鼻水が出る など

■下痢の状態の伝え方
おむつをしている乳幼児の場合、下痢で、お尻が真っ赤になり、痛がることがあります。その場合おむつかぶれの薬を出します。できれば下痢便を持参しましょう。オムツならそのままビニール袋に入れて持っていきましょう。ウイルスや細菌の検査ができます。

  • 下痢の特徴 : 水みたい、柔かい、血が混じる、消化不良 など
  • 下痢の時期 : 3日前、○月×日から、朝から、1ヵ月以上続く など
  • 下痢の強さ : 1日中出ている、おむつをしないと間に合わない など
  • 下痢のきっかけ : 食べると出る など
  • 下痢の推移 : 毎日下痢になる、1日おきに下痢になる など

■嘔吐の状態の伝え方
吐いたものに含まれているものを観察しましょう。血が混じっているかどうか、色などを見ます。吐物は下痢便と違って検査しませんので、持参の必要はありません。ノロウイルスなどは、吐物を介して家族にうつる場合があるので、袋に密封してしっかりと処分してください。

  • 嘔吐の特徴 : 噴水のように吐く、ダラダラ吐く、血が混じる など
  • 嘔吐の時期 : 3日前、○月×日から、朝から、昨日から続け様に など
  • 嘔吐の強さ : 1日中吐いている、水分を飲んでも吐く など
  • 嘔吐のきっかけ : 食べると吐く など
  • 嘔吐の推移 : 毎日吐く、1日おきに嘔吐する など


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