子供の病気/おたふく風邪

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の治療と予防

発症してからは対症療法のみで特効薬がないおたふく風邪。ワクチンを予防接種することが望ましいです。特に子どものうちにかからなかった場合は、睾丸炎、卵巣炎などの合併症リスクがあります。詳しくご紹介しましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

■「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の症状と原因」についてはこちらのページで解説しています。

おたふくかぜは一生に一度

おたふく風邪の予防にはワクチンが有効。小児のうちに抗体を作れなかった場合は、早めに接種しておきましょう

おたふく風邪の予防にはワクチンが有効。小児のうちに抗体を作れなかった場合は、早めに接種しておきましょう

おたふく風邪は一度かかると抗体ができるので、一生に一度しか罹りません。おたふく風邪に似た症状が出た場合はきちんと診断し、抗体ができたことを確認しましょう。

成人してからおたふく風邪にかかると重い合併症を伴うリスクが高くなるため、小児のうちに抗体ができなかった場合は予防接種などで対策することをお薦めします。

おたふく風邪の診断

両方の耳下腺、顎下腺が腫れた場合、ほぼ間違いなくおたふくかぜと診断されます。一方だけの腫れの場合は病名を確定できないので、血液検査で判断します。血液検査では、ウイルスそのものが体内にいるかを検査する「ウイルス分離」と、ムンプスウイルスの抗体があるかを見る検査をします。 腫れがひどくなくても、触ると痛がることが多いのも特徴の一つなので、これも診断の目安にします。

顔の片方しか腫れず、熱もなく軽症で、おたふく風邪という診断が難しくても、その後同居する兄弟姉妹に耳下腺、顎下腺の腫れが出た場合は、さかのぼっておたふく風邪だったと診断されることもあります。

おたふく風邪の治療法

おたふく風邪の原因であるムンプスウイルス自体を殺したり、抑えたりする薬はありません。かかってしまった場合は、おたふく風邪の症状に応じて、症状を和らげる治療をするしかありません。

耳下腺が腫れて痛む場合は冷やしたり、痛み止めを服用したりします。睾丸炎を併発した場合も、睾丸を冷やすしかありません。

おたふく風邪の予防接種

小学校に上がるまでにおたふく風邪にかからなかった場合は、予防接種でしっかり予防するのが効果的。ムンプスウイルスに対するワクチンは、毒性を弱めた生きた病原体を注射して抗体をつくる「生ワクチン」で、1回の接種で9割の人に効果があります。1歳以上で受けられ、自己負担で3000円から7000円程度。

一方で、予防接種をしても抗体ができない人が1割程度います。その場合は予防接種をしていたにもかかわらず、おたふく風邪にかかってしまうこともあるので、予防接種済みであってもおたふく風邪に似た症状が出た場合は、病院で受診しましょう。

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「おたふく風邪のワクチンの接種・時期・副作用」
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