子供の病気/子供の健康管理・小児科受診のポイント

医療機関を受診する基準

様子見でよいのか、病院に連れて行くべきなのか、迷う親御さんは多いようです。子どもの体調不良の訴え方は、年齢によってかなり異なります。医療機関を受診したほうがいい判断のチェックポイントを、簡単に説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

年齢によってチェックするポイントが変わってきます。

年齢によってチェックするポイントが変わってきます。普段接していると、普段を違う点に注目です。

救急車の安易な利用や「コンビニ受診」が問題になっている今、「これくらいの症状で病院に連れて行ってはいけないのかも……」と悩む親御さんも多いようです。しかし、受診が遅れて子供の健康が損なわれてしまっては大変。

正しい知識を持って、適切に病院を活用しましょう。


早期発見には「普段の状態」を知っておくことが第一

同じ病気でも年齢や言葉の上達度によって、症状の訴え方が異なります。

一番のポイントは、普段と違う点に注意すること。普段と違っても病気ではないこともありますが、普段接している家族の目が、子どもの異常の早期発見につながります。
15歳以下の子どもなら、まずは小児科を標榜している医療機関(かかりつけ医療機関、夜間・休日診療所、病院など)を受診するのがよいでしょう。

以下で医療機関を受診する基準として、簡単にチェックポイントをまとめました。あくまでの参考までの基準ですが、1つでも当てはまるものがあれば、病院を受診した方がいいでしょう。

0歳児を受診させる基準

泣く以外に痛みや不快感を訴えられない時期。また、体に異常があっても、元気がないため、泣かない場合もあります。体に異変がないか、家族が気をつけて観察する必要があります。普段と違う点に気づいてあげましょう。

□ 何をしても泣き止まない。環境を変えても全く泣きやまない
□ 2カ月未満での38度以上の発熱
□ 母乳やミルクを普段の半分以下しか飲まない
□ 顔色が悪い
□ けいれん
□ おしっこが1日出ていない
□ 発疹が出た
□ 1日中で笑顔が全くない
□ 手足を触ると、泣く
など

■0歳児によくある病気・怪我
乳幼児は6ヶ月頃から発熱が増えます。最初の発熱は「突発性発疹」というウイルスの病気で起こることが多いです。3日間ほど発熱し、解熱したら3日ほど発疹が出ますが、発疹が出るまで診断が難しいため大体は様子見をします。

また、乳幼児の場合は発熱すると泣き止まず、親御さんも困り果ててしまうようですが、病院に連れて行く車の中で泣き止みんで、医師の前では機嫌がよくなることもよくあります。発熱中にあやしても泣き止まない時は、ちょっと環境を変える工夫も大切です。

1~2歳児を受診させる基準

少し言葉を話し始めますが、オウム返しの時期なので注意してください。病院でも、「ここが痛いの?」と聞くと「痛い」と、「ここは痛くないの?」と聞くと「痛くない」と、正しくない返事をすることがあります。痛いという部分に触ってみて、表情を見て確認してあげることが大切です。

□ とにかく機嫌が悪い
□ 38度以上の発熱が3日以上続く場合 
□ 高熱で1日でも嘔吐や痙攣などの症状が出ている場合
□ けいれん
□ 耳をよく触って、泣いている場合(耳が痛い可能性があります)
□ 血便が出て、激しい腹痛を時々訴えたり、吐く場合
□ 発疹が出た場合
□ 水分を全く飲まない
□ おしっこが1日出ていない
□ 手足を動かさない
□ 咳きこんで苦しそう
など

■1~2歳児によくある病気・怪我
上記の症状以外に多いのは、大人の薬やタバコやボタン電池を食べてしまう事故です。行動範囲が広がり、何でも口に入れてしまうので、小さなものは子どもの手の届く所に置かないようにしてください。特にボタン電池などは胃の中で長く残っていると、胃に穴を空けてしまいます。病院では内視鏡で取り出しますが、大人と違ってじっとできない分、全身麻酔や入院が必要になったりします。子どもも親も医療機関も大変ですので、誤飲は防止するようにしましょう。

3~6歳児を受診させる基準

子どもがある程度、言葉で症状を訴えられるようになります。比較的、自分の意思を伝えることができるので、まずは子どもの訴えに耳を傾けましょう。

□ 37.5度以上の熱が3日以上続いている
□ 冷たいものを食べていないのに、頻繁におなかを壊す
□ 発疹が出た
□ 全く食べず、水分も全く飲まない
□ よく水分を欲しがって、おしっこに行く回数が多い
□ 歩かない
□ 足を痛がる
□ けいれん
□ 鼻水が1か月以上続く
□ 咳が1か月以上続く
など

■3~6歳児によくある病気・怪我
気管支喘息や、インスリンが不足するタイプの糖尿病が出てくる年齢です。また、保育園や幼稚園などの集団生活が始まることで、ウイルスにも感染しやすくなり、発熱や咳をよく起こします。様々な感染症に備えて、集団生活前には予防接種を済ませておくことをオススメします。

6歳児を受診させる基準

乳幼児の頃と比べて、発熱や病気が少なくなる年齢。症状を正確に話せるので、訴えに耳を傾けましょう。心の問題が様々な症状に出てくることがあるので、子どもの悩みや心配事がないか、コミュニケーションを密に取ることも大切です。膠原病、腎炎などの慢性の病気が出てくる年齢でもあります。

□ 学校へ行きたがらない
□ のどが痛くて発疹が出ている
□ 咳がひどい、咳で寝れない
□ 鼻水や鼻づまりが続く
□ なかなか起きてくれない
□ けいれん
□ 足を痛がる
□ 37度以上の発熱が1週間以上続く
□ 右の下腹部が痛い
□ 1ヶ月以上下痢が続く
□ 1ヵ月以上咳が続く
□ よく水分を欲しがって、おしっこに行く回数が多い
など

■6歳児によくある病気・怪我
学校検診が始まります。心電図異常、検尿異常で再検査になる子どもも少なくないので、慌てず、心臓外来や腎臓外来のある医療機関を受診しましょう。

この頃から、急性虫垂炎(いわゆる盲腸)が出てきますので、右の下腹部に激しい痛みを訴える場合も早めに病院を受診しましょう。虫垂が炎症で破れてしまうと腹膜炎を起こす危険があります。

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