生活習慣病/痛風

痛風の症状・原因 

「風が吹いても痛い」病気として有名な痛風。痛風の原因となる高尿酸血症は、腎臓の機能を悪くしたり、動脈硬化を進めることがわかっています。症状と原因についてわかりやすく解説します。

井上 真理子

執筆者:井上 真理子

医師 / 生活習慣病ガイド

痛風の症状

尿酸値が高いのはビールの飲みすぎ、と思われがちですが、すべてのアルコールは尿酸値を上昇させます

尿酸値が高いのはビールの飲みすぎ、と思われがちですが、すべてのアルコールは尿酸値を上昇させます

「風が吹いても痛い」という意味の病名どおり、ひどい痛みが特徴的な痛風。主な症状は、骨折以上とも言われるほどの強い痛みで「痛風発作」と言います。

足の親指の関節やくるぶしなどに起きることが多く、赤く腫れて激烈に痛むのが特徴。足の痛みと痛風の関係はよく知られているようで、足を引きずりながら、ご自分で痛風を疑って診察室に来られる患者さんは少なくありません。

痛風の原因

痛風は「高尿酸血症」という病気が原因で起きます。激烈な痛みを起こす痛風発作は、この病気が原因で起きる関節炎のためです。体内で増えすぎた尿酸の結晶が関節の中にできることで炎症を起こすのです。

そもそも尿酸というのは、食物にも含まれる「プリン体」と呼ばれる物質が体内で代謝されてできる物質で、通常は尿中に排泄されます。排泄される前段階では血液に溶けた状態で存在していますが、尿酸の血中濃度が高い状態が続くと、血液に溶けきれなくなってしまい、関節などに結晶として溜まってしまうのです。通常はないはずの結晶が溜まることで炎症を起こし、激烈な痛みが起こります。このように尿酸の血中濃度が高い状態を「高尿酸血症」と言います。

高尿酸血症の原因・診断方法

高尿酸血症の原因は大きく2つに分けられます。1つは尿酸が過剰に作られること、もう1つは尿酸の尿中への排泄が低下することです。例えば、食物として摂取するプリン体の量が多ければ尿酸はたくさん作られますし、腎臓の機能が低下すれば尿酸の排泄が少なくなります。この他にも、遺伝的な要因や生活習慣が大きく関係していることがわかっています。利尿剤などの薬によって尿酸値が高くなることもあります。

尿酸の結晶は、血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えるとできてしまうため、尿酸値7.0mg/dlを超えた場合を高尿酸血症と診断します。ただし、尿酸の値は変動しやすいもの。1回の検査の値で高尿酸血症と断定することはできないので、複数回測定した結果で診断します。

痛風発作と併発しやすい病気

高尿酸血症によって起きる病気は痛風発作だけではありません。注意すべき併発しやすい病気についても知っておきましょう。

■痛風腎

腎臓でも血液中の尿酸が結晶として析出します。さらに、高尿酸血症に伴って尿中の尿酸も多くなり腎臓で結晶化して、腎臓の働きを低下させます。これを痛風腎と言います。

■尿路結石

尿中の尿酸が腎臓や膀胱などで結晶化し、結石が形成されます。いわゆる尿路結石ですが、これが腎臓と膀胱をつな尿管の途中に引っかかると七転八倒するような腹痛を起こします。

■高血圧・脂質異常症・糖尿病などによる動脈硬化

最近の研究では、高尿酸血症が動脈硬化の進行に関与していることがわかってきました。高尿酸血症の人は、高血圧や脂質異常症、糖尿病を高頻度で併発しており、これらが絡み合ってさらに動脈硬化が加速度的に進行することがわかっています。

痛風はひどい痛みが特徴の病気ですが、原因となっている高尿酸血症は上記のように様々な病気を引き起こすリスクがあります。痛風と診断された場合は、痛みのケアと同様に注意が必要です。
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