ウイルスによる感染性胃腸炎。下痢の繰り返しによる脱水になりやすいので、気をつけなければなりません

ウイルスによる感染性胃腸炎。下痢の繰り返しによる脱水になりやすいので、気をつけなければなりません

感染性胃腸炎の原因として、細菌、ウイルス、寄生虫などさまざまなものがありますが、その中でもウイルスによるものは頻度が高く、かつ容易に感染していきますのでしばしばかかる病気です。

ウイルス性胃腸炎の代表である、ノロウイルス、ロタウイルスについて説明していきます。

<目次>
■ノロウイルス ■ロタウイルス

ノロウイルス感染症の潜伏期間と症状

感染から発症までの潜伏期間は24~48時間です。

つまり食事が原因だったとしても、症状が出てくる直前の食事のせいではなく、前日もしくは前々日の食事が原因だったりするのです。

主な症状は吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・発熱です。

症状はいきなり起こることが多く、夜に床につくと突然お腹からこみ上げてくるような感触と吐き気を催し、我慢出来ずに繰り返し繰り返し吐いてしまいます。外来でも、夜中ずっとトイレにいて、10回以上吐いていましたという話をよく聞きます。無理に横になろうとしても気持ち悪くて横になれず、 吐き気が治まったと思ったら次にずっと水のような下痢が続くということもあり、さらに発熱を伴うこともあります。

通常はこれらの症状が1~2日続いた後で治癒し、後遺症もありません。ただし感染するとすべての症状が起こるというわけではありません。外来にくる患者さんの訴えは嘔吐だけだったり、下痢だけだったりすることもしばしばです。また、感染しても発症しない場合、だるさ、ちょっとしたおなかの違和感だけの軽い風邪のような症状の場合もあります。

ノロウイルス感染症の感染経路

ノロウイルスの感染経路はほとんどが食べ物や食器などからの経口感染で、次のような感染の流れがあると考えられています。

■ 飲食物からの感染
ウイルスを溜め込んだ食材、よく言われるのはカキやアサリ、シジミなどの二枚貝などですがこれらを食べることや、ウイルスが表面に付着していたり、食器についていたりする食品を食べることで感染するもの。または、井戸水などがウイルスで汚染され、その水を飲むことで経口感染するもの。

もちろん最近、井戸水を家庭で使うことは少ないと思いますが、おいしい水を料理に使うために井戸水を使っている飲食店では、衛生管理が重要になってきます。

■ 患者からの伝染
飲食物によって感染した患者、あるいはさらにその患者から感染した患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐物から、人の手などを介して二次感染した場合。

具体的には嘔吐した子供の吐物の後片付けをしたり、不十分な手洗いのまま調理した食べ物を食べたりすることにより、感染します。 一般には飲食物からの感染よりも、人から人への感染のほうが数が多いといわれています。

ノロウイルス感染症の原因

ノロウイルスによる食中毒は、以前はノロウイルスに汚染されたカキやアサリ、シジミなどの二枚貝によるものが最も多いと言われていました。ただし、ノロウイルスは貝類自体には感染しないと考えられていて、ウイルスが貝の体内で直接増殖するわけではありません。

実際には貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に蓄積するのですが、それと同じメカニズムで海水中のウイルスも体内で濃縮、蓄積されると考えられています。

ところが、近年はこういった2枚貝が食中毒の原因となることは減少しており、カキが食材とされる集団食中毒も激減しています。疫学的には、カキ以外の食材、あるいは直接・間接的なウイルスへの接触による、原因のはっきりしない感染経路が圧倒的であると考えられています。

人から人への感染は糞口感染とも呼ばれます。経口感染の場合、ノロウイルスは口から入ってきて、食道、胃を通って、小腸の壁で感染、増殖をします。そして増殖してどんどん多くなったウイルスが腸の中で便と混じっていくわけです。その結果、ウイルスは感染者の糞便と共に排出されるほか、嘔吐がある場合は胃にわずかに逆流した腸液とともに嘔吐物にも混じって、排出されます。

そうして出てきた糞便や嘔吐物の一部は目に見えないような少量ですが、広範囲に飛び散ります。また手洗いを十分にしないと、ウイルスは手の指の間などにしぶとく残っています。知らず知らずのうちに、衣服や食器など、さまざまな経路で広がったウイルスが、ごくわずかに混入した食品などを介して再び経口的に感染して広がっていくのです。

しばしば外来で経験するのは、まず子供が感染性胃腸炎にかかって、家で吐いたり、下痢をしたりして、それを世話したお母さんが同じような症状を訴えて来院するということです。またノロウイルスの場合、少数のウイルスが侵入しただけでも感染・発病が成立すると考えられており、わずかな糞便や嘔吐物が乾燥した中に含まれているウイルス粒子が空気を介して(空気感染で)経口感染することもあるといわれています。

次ページでは、ロタウイルス感染症の症状と感染経路を解説いたします。

ノロウイルスの検査・予防・治療法については、こちらのページをご覧ください。

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