心臓・血管・血液の病気/心臓・血管・血液のしくみ・初期症状

心臓の仕組み、心臓・血管の主な病気

私たちのいのちを支える心臓と血管のしくみを解説。貧血、心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈、下肢静脈瘤など、心臓と血管に関連する病気の主な症状と治療法についても、わかりやすくまとめました。

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心臓と血液の働き・仕組み

心臓の全体図。休まずに仕事できるのには理由があります。

心臓の全体像。休まずに動き続けられることには理由があります

人間が生きるためには心臓が休みなく、全身に血液を送り続ける必要があります。心臓から送り出された血液は全身に十分なエネルギーと酸素を運び、私たちのの元気と力のもと、つまりいのちの元になります。

まずは心臓と血液の働きと仕組みを簡単に解説しましょう。

心臓が休みなく動き続けるためには、心臓を動かす筋肉そのものにも酸素と栄養が送られる必要があります。これを運ぶのが「冠動脈(かんどうみゃく)」という細い動脈。これは右上図の赤い線で示した血管で心臓の表面にあり、心臓に酸素と栄養を供給し続けます。

 

心臓の4つの弁を示します。健康な弁はやわらかくしなやかで長持ちします。昔レオナルドダビンチも感銘し研究した絶妙の構造をもちます

心臓の4つの弁。健康な弁はやわらかくしなやかで長持ちします。昔レオナルド・ダ・ビンチも感銘し研究した絶妙の構造をもちます

また、心臓がいくら血液を送り出しても、その血液が逆戻りしてしまうと、全身に血液を送ることができません。逆流を防止するために、心臓の中には4つの弁があります。

特に重要なのが大動脈弁と僧帽弁。三尖弁、肺動脈弁がそれに続きます(右図)。

 
心臓と全身、赤で示す動脈血と、青で示す静脈血がきれいに循環して全身を養います

心臓と全身。赤で示す動脈血と、青で示す静脈血がきれいに循環し、全身を養います。このきれいな流れを守りたいものです

さらに心臓は、左半分と右半分で違う役割を持っています。左半分は全身に血液を送り出す役割、右半分は全身から戻ってきた使用済みの血液を肺に送り、酸素をつけるという役割があります。

心臓のこれらのパーツのどこが故障しても、健康を維持することはできません。たとえば冠動脈がダメージを受けると狭心症や心筋梗塞になり、弁が壊れると弁膜症になります。原因が何であれ、心臓の力が落ちると心不全になってしまいます。

次に、代表的な心臓・血管の病気について解説します。

 


貧血の主な症状・治療法

血液の中身、赤いものが赤血球

血液の中身を拡大した図です。赤いものが赤血球で酸素などを全身に運んでくれます

貧血とは、血液中の酸素運搬屋である「赤血球」が少なくなったり小さくなったりし、運搬できる酸素量が減ってしまう病気のこと。

胃腸や子宮など体のどこかから出血が続いている場合や、鉄分や栄養を十分摂っていない場合、がんなどの病気で体力が消耗した場合に発症します。

貧血が進行すると酸素が全身に十分運ばれなくなり、心臓は血液の流れの回転を上げてそれを補おうとします。無理が生じて心不全になる恐れも。軽い運動でも息切れやふらつきが起きるなどの症状を伴います。

 

貧血

貧血ではふらつきや息切れなどの症状が出ます。そのままにしておくと危険なこともあります

いわゆる「立ちくらみ」が貧血と呼ばれることもあるようですが、これは必ずしも正しい病名ではありません。正しくは「起立性低血圧」である場合があります。

貧血の治療法は、赤血球を減少させている原因を治すこと。鉄が不足している場合は食事内容を見直し、それで改善が見られなければ鉄剤を服用します。出血が原因と考えられる場合は、その出血源を調べ、治療することで治ります。

私の診た患者さんの中にも、心臓は特に悪くないのに、強い貧血のために心不全を起こし、息切れがひどくて病院へ来られる方がいらっしゃいます。この場合は心臓ではなく、貧血の原因を治すことで心不全も治りました。

 

貧血の症状がある場合は、まず内科か血液内科の受診を。上記のケースのように、貧血のために心臓に強い負担がかかっている場合は循環器内科などでも検査を受けることができます。

心筋梗塞・狭心症の主な症状・治療法

狭心症

胸が締めつけられるように痛む狭心症は危険なサインです。悪化して心筋梗塞になると命にかかわります

心筋梗塞は心臓に血液を運ぶ冠動脈が詰まってしまうこと(閉塞)で、心臓の筋肉の一部が死んでしまう状態。しばしば命の危険があります。狭心症は冠動脈が狭くなる、いわば心筋梗塞の前の段階です。

5分以上、胸の痛みがあれば病院に行くのが安全。体を動かした後の胸痛は要注意ですが、就寝中など安静にしているときの胸痛はさらに危険です。

心筋梗塞や狭心症の原因は、動脈硬化を起こす病気や状態。代表的なものは以下の通り。
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 高脂血症……コレステロールなどが高いこと。特に悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが高いときや、善玉コレステロールと呼ばれるHDLが少ないときは要注意。中性脂肪が高いときも油断できません
  • 喫煙
  • 家族歴……心筋梗塞を患った血縁がいる場合
その他にも、慢性腎不全や血液透析、肥満、ストレスなどが原因として挙げられます。

血管が動脈硬化や血栓でつまると大変

血管が動脈硬化や血栓でつまると大変。その血管の下流にある心臓筋肉が死んでしまいます

いずれの場合にも胸や首などが締め付けるように痛んだりしますが、中には痛みが少ないことも。

狭心症はまず生活改善と薬で治療し、それでだめならカテーテル治療や外科バイパス手術などで治療することができます。心筋梗塞になれば緊急入院し、カテーテル治療や必要なら外科手術を考慮することがあります。心筋梗塞の結果、左室や僧帽弁が壊れればその修復を手術で行います。胸の強い痛みがあればまず内科なるべく循環器内科を受診されることを勧めます。手術の相談はこの病気に詳しい医師がいる心臓血管外科が良いでしょう。

私の周りにも、胸痛がいったん落ち着いたからとそのまま放置してしまい、さらに大きな心筋梗塞で亡くなった方がいます。医者仲間でも日ごろの胸痛を大丈夫だろうと油断し、ゴルフの最中に突然死された方さえあります。治る病気で命を落とすのは残念です。おかしいと感じたときは、ぜひ早めに受診や相談を検討するようにしましょう。

心不全の主な症状

心不全

心不全はさまざまな原因で起こる病気です。その原因を放置すると危険なことがよくあります

心不全は心臓がポンプとしての仕事が十分にできなくなった病気で、重症 になれば命の危険があります。心不全の原因として次の病気があります。
  • 心筋梗塞
  • 高血圧……年齢などにもよりますがおよそ150/90mmHgを超えれば注意が必要
  •  
  • 弁膜症……弁が逆流したり狭くなる病気
  •  
  • 心筋症……心臓の筋肉の病気
  • 心筋炎……菌やウィルスにやられ、心臓筋肉がパワーダウンする病気
  • 先天性心疾患……生まれつきの心臓の病気
  •  
  • 貧血やホルモン異常
  • その他
心不全になると、運動時に息切れや動悸がしたり足がむくんだりします。重症になるとじっとしていても息苦しくなります。仰向けになると苦しい方は要注意です。

減塩食

減塩食は心不全を良くするために大切です。塩はいろんな食べ物に含まれており、うまく塩を避けることで、美味しく健康に過ごしたいものです

治療は安静と減塩、水分制限から始まり、お薬で心臓の負担を取り、体の余分な水分を減らします。

心不全そのものの治療に加えて、血圧や弁膜症・狭心症などそれぞれの原因を治すことも大切。薬などで心不全が治らなければ、状態によって心臓外科で手術することもあります。

心不全の症状があれば、まず内科できれば循環器内科へ行かれることを勧めます。なお現在の担当医師と気が合わないとか、治療内容に納得がいかない、などの場合にはセカンドオピニオンを他病院・他医師からもらうとよいでしょう。セカンドオピニオンは現代は患者さんの基本的権利として認められています。

心不全も、それ自体が危険なだけでなく、二次的に肺炎になったり血栓ができて脳梗塞などになったり、腎臓や肝臓が悪くなったり、さまざまな問題が続発して、外来に来ない間にその二次的問題が命取りになる患者さんが今なおおられます。やはり平素の注意や、医師とのコミュニケーションが大切です。

不整脈の主な症状・治療法

不整脈

不整脈でも苦しい時や意識が薄れるなどの場合は要注意です

不整脈は心臓が規則正しく打ってくれない病気です。その中に比較的怖くないものと、要注意のものがあります。

一言で不整脈といってもいくつかのタイプに分類できます。大きくは以下の2つ。
  • 除脈性不整脈……脈が遅すぎる不整脈
  • 頻脈性不整脈……脈が速すぎる不整脈
さらに頻脈性不整脈は、
  • 上室性不整脈……血液を貯める部屋からの不整脈
  • 心室性不整脈……ポンプの部屋からの不整脈
の2つに分けられ、それぞれ治療法も異なります。

症状は胸がドキドキして息苦しくなったり、ふらついたり、心室性不整脈の一部など悪性の不整脈では失神したり突然死することも。心臓の病気は胃腸や手足の病気等よりも急ぐことがあり、早目の受診、早目の対応が命を守ることがよくあります。

ペースメーカーは技術の進歩で随分小さくなり携帯電話も使えるようになりました。ペースメーカーが必要と言われた方は一度その実物を見せてもらうと良いでしょう

ペースメーカーは技術の進歩で随分小さくなり携帯電話も使えるようになりました。ペースメーカーが必要と言われた方は一度その実物を見せてもらうと良いでしょう

治療は除脈性では必要があればペースメーカーを植え込めば元気になります。頻脈性ではその不整脈の内容に応じてさまざまな薬を使い、薬で十分でなければカテーテルという管で不整脈の源を治します。

命にかかわる心室性不整脈では植え込み型徐細動器を入れることもあります。これは自動式体内AEDとお考え下さい。

不整脈の原因が弁膜症等で、もし弁膜症そのものを治す必要があれば、不整脈も同時に手術で効率よく治せることもあります。

 

心房細動は脳梗塞などの原因になり、油断できない病気です。しかし治療すればこうした問題は避けられることが多いです

心房細動は脳梗塞などの原因になり、油断できない病気です。しかし治療すればこうした問題は避けられることが多いです

なお不整脈の一つである心房細動等では血栓ができやすくそれが脳へ流れれば脳梗塞になるため、バイアスピリンやワーファリン等の血栓予防のお薬を飲むことが安全です。野球の長嶋さんやサッカーのオシムさんも心房細動のため脳梗塞に襲われました。脈の不整やドキドキ感があれば、まず内科とくに循環器内科を受診されると良いでしょう。

私の経験では弁膜症手術時に心房細動があれば一緒に治し、20年以上の難しい心房細動でも治るケースが多くあります。やはり努力のし甲斐があると思います。

これら心臓の病気にならないように、皆で体を大切にしましょう。そして異常を感じたら早めに医師にご相談されるのが良いでしょう。通常はまず内科か循環器内科がお勧めで、手術が必要かも知れないと言われたときは経験豊かな医師がいる心臓血管外科での相談も併せてお勧めです。

下肢静脈瘤の主な症状・治療法

下腿静脈瘤。じっと立つ事が良くないのですが歩くのなら立位も悪くありません

下腿静脈瘤。じっと立っていることでおきやすい病気で、同じ立位でも歩く仕事では

下肢静脈瘤は下肢の静脈が腫れあがり膨らんで下肢の皮膚がでこぼこに見える病気。静脈の中にある弁が壊れ、立ったときに血液が重さで下肢静脈に高い圧がかかって起こります。

特に妊娠後の主婦や、学校の先生、外科医など立ち仕事が多い方によく見られます。同じ立ち仕事でも歩き回る仕事の場合はそれほど起こりません。

あまり進むと見栄えが悪いだけでなく、皮膚が黒ずんだり皮膚に潰瘍ができたりして出血することも。診察と、静脈の血液の流れ方をエコー・ドップラー検査で調べて診察します。

 

弾性ストッキングで上手に圧迫

弾性ストッキングで上手に圧迫すれば下肢静脈瘤や下肢の腫れはさらに良くなることがあります

治療は軽症なら生活工夫に加え、下肢を上げる、立ち話をしない等や下肢の弾性ストッキングなどで軽快しますが、重症になれば手術で瘤を取るか固めるか、あるいは静脈の逆流を治すなどします。

下腿静脈瘤に少し似た病気で血栓性静脈炎というのがあります。この場合は下肢そのものが腫れ上がり、痛んだり熱っぽくなります。ばい菌や血栓が静脈の中で増えると危険なことがあります。

下肢の静脈瘤や血栓性静脈炎に気が付けば、心臓血管外科または血管外科の受診を勧めます。

■参考サイト
心臓血管外科情報WEB

更新日:2010年04月27日

(公開日:2010年04月21日)

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