目の病気/結膜炎・ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)

ものもらいの治療・手術法

ものもらい(霰粒腫・化膿性霰粒腫・麦粒腫)の治療・手術法

大高 功

執筆者:大高 功

眼科医 / 目の病気ガイド

ものもらい(霰粒腫・化膿性霰粒腫・麦粒腫)の治療・手術法

ものもらいが塗り薬や内服薬でも治らない場合は、手術を検討しなければならないことも

ものもらいが塗り薬や内服薬でも治らない場合は、手術を検討しなければならないことも

ものもらいの種類」で述べたとおり、霰粒腫(さんりゅうしゅ)・化膿性霰粒腫(かのうせいさんりゅうしゅ)・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)を厳密に見分けることは難しいので、ものもらいのほとんどをしめると考えられる霰粒腫・化膿性霰粒腫の治療法をを中心に説明します。

霰粒腫、化膿性霰粒腫の治療方針は主に以下の3種類。麦粒腫の場合は以下の1、2が適応になり、理論的には2の方法で治るはず。逆に2でも治らないものは麦粒腫ではなくて霰粒腫、ないしは化膿性霰粒腫であると考えます。

1.放置

放置と聞くと、「おい大高、それはほんとうに治療法なのか!」と言いたくなると思いますが、医学の教科書には、さまざまな病気の治療法の欄に「放置」と堂々と書いてあります。もしかしたら一番多い治療法かもしれません。私も学生時代に衝撃を受けました。霰粒腫の患者さん、その親御さんはものすごく心配されるのですが、私はこう伝えております。「おそらく昭和の初期ぐらいまでは霰粒腫は全員が放置していたと思うのですが(単なる推定ですが)、子供のころに霰粒腫になったきり一生霰粒腫が続いたよ、と言っているお年寄りは見たことがありません。なので、放置でもおそらく100%治るのだと思います。なので、心配しないでください。ただし、何年かかるかわかりませんが……」

ちなみに、よく「霰粒腫は温めたほうがいいのですか? 冷やしたほうがいいのですか?」と聞かれることがあります。温めると油が溶けるので開通することが期待できるが、中の炎症は冷やしたほうが治まるので、どちらも一長一短、暖めも冷やしもしないのが適切か、と思います。温めて開通したらとってもラッキーだなぁとは思いますので一度ぐらいホットタオルで暖めてみるのも良いかもしれませんが、効果のほどは不明です。

2.点眼や内服

■抗生物質の点眼、内服
化膿性霰粒腫の場合は抗生物質の点眼で菌をたたき、化膿していない通常の霰粒腫の場合は、今後の感染を予防するという意味があります。霰粒腫は化膿しているか化膿していないかは厳密に見分ける方法がなく、今後化膿すると面倒なので、ともかくも抗生物質の点眼や内服を処方される先生が多いと思います。ちなみに私は、ものすごい赤み、腫れ、痛みで、これはどう考えても感染が合併した化膿性霰粒腫だろうと思ったときは内服も出しますが、それ以外は点眼だけを出すことが多いです。

■抗炎症剤の点眼、内服
霰粒腫は、たまった油が周りの壁を押すことによって起こる炎症で肉芽ができることで、油と肉芽がたまって大きくなるものです。なので少しでも炎症を弱くして肉芽ができるのを抑えるために、抗炎症剤(ステロイドや、非ステロイド系抗炎症剤)の点眼や内服を処方される先生も多いです。また、霰粒腫ができるとまぶた裏側にも炎症が起き、その影響で眼にごろごろ感が出たりもするので、それを楽にするという目的もあります。ちなみに患者さんの中には、ステロイドの点眼をものすごく怖がっている方がいらっしゃいますが、ステロイドは眼と非常に相性が良く、眼科医はみな処方する、とても良いお薬です。ただし、副作用でゆっくり眼圧が上がってくる場合がありますから、点眼中は先生の指示通りに定期健診を受けるようにしてください。もし眼圧が上がっても、やめれば下がりますし、短期であれば後遺症も残りません。

ここで注意してほしいのは、これらの点眼、内服薬はどれも霰粒腫の原因であるところの油がつまってたまってしまうことを解消しているわけではなく、あくまで対症療法であるということ。また、点眼はまぶたの中にそんなにたくさん入って行ってくれるとは考えづらく、内服はまぶたに集中的に集まるわけではないのでそんなに効果が期待できず、全身の副作用もありえるので、医師としての良心で無理に出さないことも多くいのです。私は明らかに化膿してひどいと思われる場合以外は出しませんが、お薬に多くを期待してはいけないということです。「あの先生の処方で治らなかった!」と嘆いている患者さんも見ますが、霰粒腫に関しては、もともとお薬の効果はそんなもんだと割り切っておいたほうが心が楽ですね。

3.手術

点眼や内服で治らない時の治療は、通常は手術となります。手術の流れは説明するのは簡単で、麻酔をして、まぶたを表から、ないしは裏から切って、中身を出すというものです。細かいところは先生なりの手技があるので割愛させていただきますが、言うのは簡単なのに、やるのは意外と難しいのがこの手術。

まず、まぶたは麻酔をしっかりやらないとものすごく痛いところなので、どうやってちゃんと麻酔を効かせるか、続いて麻酔をしっかり効かせるとまぶたが麻酔液で膨らみ、もともとの霰粒腫の場所が分からなくなってしまうことがあるので、どうやってきっちり見分けるか、などなど……。

ここで注意してほしいのは、手術治療もあぶらのつまりを確実に解消しているわけではないということ。油と肉芽の混合体である中身を出しているときにうまくマイボーム腺が開通してくれるのが見える場合もありますが、たいてい中身は出るが開通したかどうかは不明なわけです。霰粒腫は袋に包まれていて、その袋をきっちり取り出すと再発しないと言っている先生もいらっしゃいます。確かに袋らしきものが見えることもありますが、大方の症例ではっきりせず、袋が取れることを祈って中身が溜まっている部分の外壁を擦り取るわけです。なので、残念ながら再度あぶらがたまってしまうことはありえます。その場合でも、手術前よりひどくならない場合がほとんどなので、やはり手術は効果ありと考えます。

(番外)ケナコルトの注射

「ケナコルト」という弱いが長く効くステロイドを患部に直接注射する方法。ケナコルトは炎症を抑えてくれる薬なので、もともとは肉芽ができるのを抑える目的で使用します。しかしなぜかもともと溜まっていた油もけっこうなくなるので、私は良い治療法だと思っています。治癒率は80%ぐらいの印象です。

しかし、副作用がゼロではないので注意が必要。ステロイドですが、まぶたにうつので眼圧が上がったりするようなことはありません。しかし、白いお薬なのでしばらくまぶたが白くなったり、注射で内出血が起こってまぶたがしばらく赤黒くなったり、まれに白目にも内出血がまわって白目が赤くなったり、慣れてない人がうつとまぶたを貫通して目にさしてしまうような事故もありえます。なので、この方法は採用していない病院がほとんどです。

ものもらい(霰粒腫・化膿性霰粒腫)の手術費用

3割負担での費用は、初診日に投薬だけの場合で5000円、初診日に手術をする場合で1万円ぐらいを見ておくとおつりがかえってくる確率が高いと思います。なぜこんなにもあいまいかというと、自己負担の費用は処方する薬剤、手術で使う薬剤、採用する手術手技などで大きく違ってきます。これらは患者さんの症状により左右されるものなので、断定的なことを言うと、治療をされるドクターに大きな迷惑がかかるからです。ご理解いただければ幸いです。

みなさんもものもらいをしっかり治して、もとの美人や男前に戻りましょう!

ものもらい治療は高額?

最後に余談ですが、ものもらいの治療を受けに行ったら視力や眼圧などの無駄な検査をされて余分に費用を払わされた、とお話されている患者さんをたまに見受けます。気持ちはわかりますが、ものもらいはしぶとい病気の一つ。抗生剤や抗炎症剤のようなしっかりとしたお薬を処方しますから、副作用で眼圧が上がったり、目に合わなかったりする可能性もあるのです。眼圧が上がってしまいその状態が続くと神経が傷み、視野が欠けてくるリスクもあります。もともとの眼圧が高くないか、緑内障はないか、視力は問題ないか、もともとの目の表面の状態は問題ないか、などをきっちりチェックしておくことが結局患者さんのためになると我々眼科医は考えております。ご理解いただければ幸いです。
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