頭痛/片頭痛・偏頭痛

片頭痛の症状・原因

よくある症状である頭痛の中でも、多くの人が悩まされている「片頭痛」。日本人の8%がつらい片頭痛に悩まされているといいます。片頭痛の特徴的な症状と片頭痛が起きるメカ二ズムについて解説します。

菅原 道仁

執筆者:菅原 道仁

医師 / 家庭の医学ガイド

一度も経験がない人はいないほど、よくある症状の頭痛。この頭痛を引き起こす病気の中でも多くの人が悩んでいるのが「片頭痛」です。片頭痛は「偏頭痛」と表記することもありますが特に区別はなく同じ病気を指すので、ここでは表記を片頭痛に統一して解説します。
 

片頭痛に特徴的な症状

片頭痛は日本人の8%が悩んでいます。とくに女性に多く、ズキンズキンとした心臓の鼓動にあわせるような痛みがあります。

日本人の8%が悩んでいるといわれる片頭痛。女性に多く、ズキンズキンという心臓の鼓動にあわせるような痛みが特徴

全国調査によると、片頭痛に悩んでいる日本人は人口の約8%。特に女性に多く、10代から20代で発病することの多い若年者に多い頭痛といえます。痛みの持続は普通4~5時間程度ですが、長い場合は3日くらい続くこともあります。

痛みは「片頭痛」という名の通り、頭の片側のこめかみから眼の辺りに起こることが多いようですが、約4割の患者さんは両側の痛みを訴えます。ギューッと締めつけられるような痛みではなく、ズキンズキン、ガンガン、ドクンドクンと表現されるような心臓の鼓動にあわせるような痛みが襲ってくることが多いようです。吐気や嘔吐を伴うこともあり、頭痛が起こっているときは日常生活や仕事が手につかないほど。しかし「頭痛」というとよくある軽い症状と捕らえられがちなので、深刻な辛さが周囲に理解されにくい病気とも言えます。

頭痛時は光や音や匂いに敏感になっていることが多いため、暗い静かな部屋でじっとしていると楽な人が多いようです。人によっては、頭痛の前兆としてギザギザした光が見えることがあり、この前兆を「閃輝暗点(せんきあんてん)」と言います。

片頭痛のセルフチェック法

上記の特徴を踏まえて開発された、片頭痛かどうかを簡易的に調べる問診表があります。2005年に日本の頭痛医療推進委員会が開発したものです。

  • 歩行や階殿の昇降など日常的な動作によって頭痛がひどくなることや、あるいは動くよりじっとしている方が楽だったことはどれくらいあったか?
  •  頭痛に伴って吐き気がしたり胃がムカムカすることがどのくらいあったか?
  • 頭痛に伴ってふだん気にならない程度の光が、まぶしく感じることがどれくらいあったか?
  • 頭痛に伴い周りの臭いに過敏になってしまうことがどれくらいあったか?
まずは過去3ヶ月に起こった頭痛の特徴を思い出し、上記の項目それぞれに「なかった」「まれ」「ときどき」「半分以上」の4段階で回答してください。2つ以上の項目に「ときどき」「半分以上」という答えがつけば、その症状はほぼ片頭痛と診断されます。

しかしこの質問表はあくまでも簡易的なものなので、医学的な確定診断を受けるためには必ず医師の診察を受けることお忘れなく。

片頭痛の原因

片頭痛はとても有名な病名の一つですが、実は原因が分かっていない不思議な頭痛です。諸説ある中で有力視されているのは「三叉神経血管説」。何らかのきっかけで頭の血管の周りにある「三叉神経」が刺激され、脳血管を拡張する痛み物質が出ることによって頭痛が引き起こされるという説です。

片頭痛を引き起こすきっかけは人それぞれで、生理、ストレス、人ごみ、寝不足や眠りすぎなどが代表的。なるべくストレスを減らし、規則正しい生活を送ることが大切です。


すぐに医療機関を受診すべき頭痛

片頭痛はとても辛い頭痛ですが、命に関わる病気ではありません。しかし、同じような症状の頭痛の中には命に関わる危険なものもあるため、頭痛が起きたときに以下のような特徴がある場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
  • 前触れなく、突然頭痛が起きた
  • 今までの頭痛とは違った感じだと感じる
  • 今までの頭痛の中で一番痛い
  • 頭痛だけでなく、発熱や手足の動かしにくさ、言葉が出ないといった他の症状を伴う
  • 意識がもうろうとししたり、痙攣を起こしたりする

片頭痛と間違われやすい病気

最後に、片頭痛と間違われやすい頭痛を引き起こす病気についてまとめます。

■くも膜下出血
8割以上が脳動脈瘤という血管のこぶが破裂することによって引き起こされる病気で、危険な頭痛の代表格。バットで殴られるような強い痛みと表現されることもあり、それまでに感じたことがない痛みが突然起きるのが特徴です。

■脳腫瘍
脳にできた腫瘍が原因で頭痛が起きることも。脳内の圧力が高くなることで頭痛が起きます。朝方に痛みを感じやすいのが特徴と言われていますが、実際はどの時間帯でも頭痛を伴うことがあります。

■脳出血

血管の動脈硬化が進行しているとなりやすい病気。この頭痛も瞬間的に引き起こされ、頭痛だけではなく手足の麻痺や意識障害を伴うことも。

■髄膜炎

頭痛だけでなく発熱を伴うことが一般的。後頭部が張ったようになり、首が曲げられなくなる人も。

■緊張型頭痛
肩こり、首こりから引き起こされる頭痛で、「締め付けられるような痛み」「重苦しいような痛み」と表現されます。デスクワークやPC作業が多くなった現代社会で非常に増えた頭痛かもしれません。

■副鼻腔炎
鼻詰まりに伴う頭痛で、目の周りや額が痛むのが特徴。抗生物質の内服で改善します。

■後頭神経痛

突然起きる瞬間的な痛みが特徴で、チクチクした痛みや、髪の毛に触ると痛いと感じます。持続的に痛いというより、間を空けて痛みが起こります。たいていは1週間もすれば改善しますが、水疱を伴う場合はヘルペスウイルスによる帯状疱疹の可能性があるので早めに医療機関の受診を。

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