ストレス/身近な人のストレスケア

大切な人と死に別れたら「悲哀のプロセス」

大切な人との死別を経験したことがありますか? 死後、しばらくの間はその人のことを思い、存分に悲しみを経験しないと、のちのち心の病になることもあります。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

大切な人を失ったとき、思い切り悲しんでいますか?

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死の悲しみに絶望し、泣き暮らすのは弱いからではない
あなたは、家族や恋人など、親しい人との死別を経験したことがありますか? 「大切な人がもうこの世にいない」これは、人生のなかで最もつらい経験です。

大切な人を失ったあと、最も大切なのは何でしょう? それは、思い切りその死を悲しむこと。気持ちの整理がつくまでは、しばらく思う存分泣き暮らすことです。

人によっては、うつ病のような症状が現れることもあります。しかし、これは悲しみというストレスがもたらす正常な反応。つらくても、数ヵ月のうちに落ち着いていきます。

真面目でしっかりした人ほど、「メソメソふさぎ込むのは弱い証拠」と思いがちです。そして、無理に忙しくしたり、気を紛らわせるものを探して、悲しみを忘れようとしてしまいます。しかしある期間、死別と正面から向き合わなければ、この大きなストレスを乗り越えることはできないのです。


別れから立ち直るまでの「悲哀のプロセス」とは?

では、死別のストレスを乗り越えるまでには、どんなステップを踏まねばならないのでしょう。グリーフケアには、「悲哀のプロセス」という以下の3つの段階があります。


【悲哀のプロセス】

STEP.1 否認
まず「そんなことあるはずない」という否認の感情が湧き起こります。

STEP.2 絶望
失ったことの悲しみに直面し、絶望感が訪れます。

STEP.3 脱愛着
亡くなった人への愛着から脱し、新たな関係に目を向けていきます。


このプロセスのSTEP.2の「絶望」を十分に経験しないと、本人は立ち直ったつもりでも、大切な人の死を心の底でいつまでも引きずってしまいます。そして、数年たってから強い抑うつが襲いかかり、うつ病になってしまうこともあるのです。また、精神的な症状はなくとも、痛みや不眠などのように体に症状のあらわれるうつ病(仮面うつ病)になってしまうこともあります。

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