運動と健康/柔軟性・姿勢・コンディショニング・身体の動き

柔軟体操は効果的か…柔軟性を高める方法5つのコツ

【アスレティックトレーナーが解説】柔軟性が高く筋肉がほぐれていると、体に様々な効果やメリットがあります。運動する時間がなくて体が硬い初心者の方は、手軽なストレッチから始めてみましょう。まずは柔軟性をセルフチェックし、柔軟性を高める効果的なストレッチのコツを押さえましょう。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

柔軟性を高める方法は? 体の柔らかさ・硬さは人それぞれ

ストレッチをする女性

体が硬いとお悩みの人は多いもの。そもそも柔軟性が高いとどんなメリットがあるのでしょうか?

「体が柔らかい」「体が硬い」という表現はよく耳にしますが、実際に体の柔軟性を高める方法はあるのでしょうか? 体育の授業や部活動などで柔軟体操をした経験がある方は多いと思いあますが、同じような柔軟体操を行っていても、体の硬い人、柔らかい人と個人によってもその柔軟性は違います。体を柔らかくするために必要な知識やチェック方法などをご紹介します。
   

静的柔軟性と動的柔軟性……柔軟性の2つの種類

そもそも「柔軟性」とは筋肉と腱などが伸びる能力のことです。一般的に体が柔らかいことを「柔軟性が高い」といいますが、柔軟性は大きく2つに分けることができます。

座った状態や立った状態からゆっくり体を伸ばしていく静的柔軟性、そして動きの中で体の関節や筋肉が自由自在に伸び縮みする動的柔軟性です。静的柔軟性を高めるには、ある関節が持つ運動範囲を広げることであり、一般的なストレッチはこれを目的に行います。動的柔軟性では、関節が持つ運動範囲の動きやすさを高めることを目的として行います。ここでは静的柔軟性を中心にお話しします。
 

体が柔らかく柔軟性が高いことの効果・メリット

柔軟性を高めることで、体にはさまざまな変化がみられるようになります。

■基礎代謝があがり、血行が良くなる
体の柔軟性が乏しい状態で生活することは、基礎代謝の低下や血行不良につながります。ストレッチを行い、柔軟性を高めることは筋肉を動かして代謝を高めるだけでなく、筋肉のもつポンプ作用を利用して血行を改善させます。基礎代謝があがることはダイエットにも有効ですし、血行が良くなることは手先や足先の冷え症改善につながります。

■疲労回復に効果がある
運動や日常生活でたまった疲労物質などは、血液に乗って運ばれ分解されます。血行が良くなるとこの循環が早まり、疲労回復の効果が期待できます。

■肩こりや腰痛の改善にも役立つ
筋肉の張りやコリなどは、肩こりや腰痛の大きな原因の1つです。柔軟性が低いと関節により大きな負担がかかり、痛みを引き起こすことも。筋肉や腱が伸びることで関節への負担を減らし、肩こりや腰痛を緩和、改善させる効果が期待できます。

■運動をするときのケガの予防になる
ストレッチを行い、柔軟性を高めると筋肉を動かすことにより、筋温が上昇します。運動前のウォームアップなどで行うと、運動によるケガや筋肉痛をある程度予防することができます。逆に筋温が十分に上がらない状態で運動を始めてしまうと、筋肉や関節を痛める原因ともなってしまいます。

■心身の老化予防にも
体を動かして柔軟性を高めることは、心と体をリラックスさせて緊張を解きほぐすだけでなく、心身の老化予防に効果があるといわれています。
 

加齢とともに体は固くなる? 柔軟性の低下は運動不足も原因

ストレッチをする人たち

日頃のストレッチ習慣が柔軟性を高めるためのポイント

子どもの頃は体が柔らかかったのに、年齢を重ねるとどんどん体が硬くなってきた……という人も多いと思います。これは加齢によるものというよりは、運動不足やストレッチ不足によるところが大きいと考えられます。筋肉は年齢に関係なく、鍛えたり、普段から動いたりすることが筋力の維持や向上につながりますが、使わなければあっという間に筋肉量が減ってしまうと言われています。体の柔軟性も同じこと。普段から意識してストレッチを行うことは、関節の動きを維持し、しなやかな体を保つことにつながりますが、疲労がたまった体をそのままに日々を過ごしていると、いつの間にか体が硬くなった……と感じてしまうのです。
 

柔軟性の簡単セルフチェック……あなたの体の硬さ・柔らかさは?

自分の柔軟性をチェックしてみましょう。日常的に運動をする習慣のない人は、筋肉の張りやコリなどで体が硬くなっているかもしれません。自分の体の状態を知り、柔軟性を高めるためにもまずは現状を把握することから始めましょう。

1. 背中で手が結べますか?

背中で手を組む

背中で手と手がつかめると肩の柔軟性はかなりよい

左右どちらも比べて行ってみましょう。手と手の間が5cm以上離れている場合は肩の柔軟性が低い傾向にあります。どちらか一方のみ手がつく場合は、柔軟性に左右差があります。
 

2. 前屈して足首がつかめますか?

長座体前屈

膝をまっすぐ伸ばして足首をつかんでみましょう

長座の姿勢になり、膝を曲げないで足首をつかむように前に体を倒します。足首がつかめない場合は、腰背部およびハムストリングス(太ももの裏の筋肉)の柔軟性が低い傾向にあります。
 

3. 肘がまっすぐ伸びますか?

上腕と前腕

腕をまっすぐ伸ばして手首を軽くそらせます

片方の手でもう片方の手首を持ち、肘を伸ばします。肘がまっすぐ伸びない場合は、手首を手前に曲げる筋肉群の柔軟性が低い傾向にあります。肘関節を形成する骨の配列(アライメント)に問題がある場合もあります。

4. かかとがお尻につきますか?

大腿四頭筋の柔軟性

うつぶせの状態になり同じ側の手で足を持って行います

うつぶせの状態になって足がお尻につくかどうかをチェックします。かかとがお尻につかない場合は、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の柔軟性が低い傾向にあります。左右どちらとも行ってみましょう。

5. 前屈して肘が床につきますか?

開脚

痛みがある場合はムリをせず、できる範囲でチェックしましょう

開脚した状態からゆっくりと身体を前に倒していきます。脇をしめた状態で肘が床につかない場合は、ハムストリングスや内転筋などの柔軟性が低い傾向にあります。

6. 膝を伸ばして90度あげられますか?

ハムストリングスの柔軟性

膝を曲げずにゆっくりと足をあげていきましょう


仰向けになり、両手で足の膝裏を持つようにしてゆっくりとあげていきます。床面から見て90度までいかない場合は、ハムストリングスや臀部(でんぶ:お尻のこと)の柔軟性が低い傾向といえます。

 

柔軟体操の効果を最大にするストレッチのコツ

柔軟性を高めるための最も手軽な方法がストレッチです。ストレッチは1人でも簡単に行うことができ、時間や場所をとりません。効果を出すためには、日頃から行い、筋肉や腱を伸ばしていくことが大切。

実際のストレッチ方法については「簡単!タオルストレッチで身体を伸ばそう」「準備運動・基本のダイナミックストレッチ」などをあわせて参考にしてください。ストレッチに関するさまざまな書籍なども数多く出版されています。

効果的に柔軟性を高めるために、ぜひ覚えてもらいたいのがストレッチを効果的にする5つのコツです。
 
  1. 体が温まった状態で行う(入浴後、軽い運動後)
  2. 反動をつけず、ゆっくりと20~30秒かけて行う
  3. 息を吐きながら行う
  4. 伸ばす筋肉を意識する
  5. 継続して行う

これらのコツを意識して行うだけでもストレッチ効果は高まり、柔軟性アップにつながります。体と心をほぐして日々の運動不足を解消し、健康的な生活を送りましょう。

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