癌(がん)/がんの手術治療

なぜ、手術翌日から歩かされるのか?

一大決心をして受けたがんの手術。いくら予定通りに終わったとはいえ、翌日の朝から歩こう、と主治医の先生に言われて驚いた方はいらっしゃいませんか?その理由を解説します。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

手術の後は、絶対安静じゃないの?

手術の後は、絶対安静じゃないの?
一大決心をして受けた、がんの手術。もちろん、何もかもが初めての経験という方がほとんどだと思います。手術が終わった後は、絶対安静、という考え方は、完全に過去のものになっていることをご存知でしょうか?
一大決心をして受けたがんの手術。がんの治療は、手術で終わり、というわけではありませんが、それでも、全身麻酔で体にメスを入れたあとは、しばらくは、安静にして静養するのが大切と思っておられる方も多いようです。

確かに、昔はそういう時期はあったようですが、今や、時代は、大きく変わりました。がんの手術の後でも、早期離床といって早くベッドから離れて、歩行を開始することが基本的な考え方になっています。

今回は、なぜ、がんの手術の翌日からでも、歩いてトイレに行こうと言われるのか、その理由をお話したいと思います。

足腰はみるみる弱る

足腰はみるみる弱る"
高齢化社会の到来を受けて、がんの手術を受けられる患者さんのご年齢も高くなってきています。若い年代もそうですが、ご高齢の方にとっては、数日間ベッドに寝かせきりにしておくことは、寝たきりの第一歩になりかねません。
高齢化社会の到来は、病院にいると実感します。

がんの手術を受けられる方で、60代の方なら、比較的お若いという感じになるのが今の病院です。70代は、もう普通で、後期高齢者に分類される75歳以上の方も、全然珍しくありません。

もし、手術後、数日間ベッドに寝かせきりにしておくと、ご高齢の方のみならず、お若い方でも急速に足腰が弱ります。特にご高齢の方の場合には、このまま寝たきりになってしまうケースも有ります。

そこで、足腰を弱らせないためにも、早期の離床が強く推奨されているのです。

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