インフルエンザ/インフルエンザワクチンの予防接種

予防にかかるインフルエンザ薬の費用(2ページ目)

インフルエンザ予防の第一はワクチンですが、抗インフルエンザウイルス薬も予防投与が認められています。インフルエンザ治療にかかる医療費を見直すことでも、予防することの大切さを考えてみませんか?

執筆者:吉國 友和

タミフル®・リレンザ®によるインフルエンザ予防

リレンザ®
リレンザ®の副作用は比較的小さいとされていますが、吸入薬であるため呼吸器疾患治療中の方は注意が必要です
タミフル®は以前から予防投与のできる薬剤でしたが、今年1月からはリレンザ®も予防投与可能な薬剤とされています。予防投与については、その時点ではインフルエンザという確定診断が得られておらず、かつインフルエンザウイルス感染症を発症している患者さんの同居家族または共同生活者であり、最終的に医師が必要と判断した方が対象となっています。その他の条件には次のようなことがあります。
  • 65歳以上
  • 代謝性疾患(糖尿病など)がある
  • 腎機能障害がある
  • 慢性心疾患がある
  • 慢性呼吸器疾患がある(※)
(※)リレンザ®は吸入薬であるため、気管支喘息を含む慢性呼吸器疾患については気管支へ影響を与える可能性のあることから予防投与の対象とはなっていません。安全性の高い薬剤ではありますが、処方される人数が増えるほど、副作用報告も集積されていくものですから、絶対に予防投与が必要とは言えないことには注意してください。

それでは、実際の予防投与にかかる費用を確認してみましょう、実はこんなにかかってしまいます。なお、成人に用いる場合、タミフル®に関しては治療として用いる場合には1日2回5日間内服、予防として用いる場合には1日1回7~10日間内服とされていますので、今回の計算は10日間内服した場合を基準としています。


ワクチンより安い? 予防投与にかかる医療費

実は厳密に言うと予防投与に関しては、原則として保険適応にはなっていないのです。ですから、予防目的で抗インフルエンザ薬を処方された場合には、保険適応外となり成人では次のようになります。予防目的ですので、インフルエンザウイルスの検査費用は含んでいません(保険点数は仮に保険の対象となった場合の点数である初診料273点、投薬料はタミフル®374点・リレンザ®398点を基準として計算しています)。

タミフル®……6,570円(1日1回1カプセルを10日間内服)
リレンザ®……6,810円(1回2吸入として1日2回、合計1日4吸入を5日間)

これらの薬剤は、副作用なども考慮した上で使用しなければなりませんが、両薬剤とも条件を満たす場合には予防的に処方しても良いとされています。しかし、保険外診療ですので医療機関によっては診察費などに若干差が生じると思いますが、いずれにしても保険診療点数を基にして単純に計算するとこれだけの額となるようです。


インフルエンザワクチン費用はどのぐらい?

インフルエンザワクチン(予防接種)も保険適応とはなっていないため、医療機関によってずいぶん差があるようです。私の知るところで最安値は1,500円、高いところでは5,000円以上ともお聞きしましたが、概ね2,000~3,000円というところが多いのではないでしょうか。

ワクチン接種費用は、一般的には診察料なども含まれた額で表示されているのですが、こちらも保険適応外であるために医療機関ごとに自由に価格を設定してよいことになっています。ちなみに、ワクチンは小さなビンに入っていますが、1ビンにつき2人分入っています。ある製薬会社さんのワクチンの原価は1ビンで1,600円ぐらいですので、1人分は約800円ぐらいです。

これに診療費・注射費などを加えた価格がワクチン費用ということになるのですが、居住する自治体からのワクチン助成費などでも差額が生じるようです。最終的には医療機関の判断というところですが、ガイドの住む地域ではどちらかというと診療所のほうが安いようです。


今回はインフルエンザ治療薬にかかる費用の例をご紹介しました。ときどき治療薬を予防的に処方して欲しいという患者さんもいらっしゃるのですが、診療費用が実費になることを説明すると迷ってしまうという方も多いようです。今年はインフルエンザが流行していますが、予防投与を希望されますか?
(今回の医療費の計算にあたっては、ガイドの勤務する病院事務Sさんにご協力をいただきました。医者であるガイドから見ても、医療費の計算は複雑です。)


【関連リンク】
・ 抗インフルエンザウイルス薬は必須ではありませんが、解熱するまでの期間を早める効果もあります
タミフルとの正しい付き合い方を知る(All About 50代からの健康法)
・ ワクチンがまだの人はぜひ参考にしてください
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