SANDSの結果
アメリカ先住民は遺伝的に2型糖尿病になりやすいのです。そこで心臓死の最大の原因である動脈硬化を防いで、心筋梗塞や脳卒中による死亡を防ぐために思い切って悪玉コレステロールと血圧を下げてみようという研究です。
40歳以上で2型糖尿病のあるアメリカ先住民の男女合わせて500人を選びました。この人達には心臓病の既往症はありません。
この人達を2分して、一方には悪玉コレステロール(LDL-C)を70mg/dl以下、収縮期血圧(高い方)を115mmHg以下という厳格なコントロール目標を与えました。
もう一方のグループはアメリカの標準的な目標値である悪玉コレステロール100mg/dl以下、収縮期血圧130mmHg以下です。
2つのグループは目標値が違うだけで、他の条件は全く同じです。つまり処方薬は同じ物で、投与量だけが目標値によって異なっただけです。食事・運動のライフスタイルの指導も同じ、体重維持や禁煙の継続も同じでした。
3ヵ月に1回センターに行ってチェックを受ける生活を3年間通して厳格コントロールがどの位心臓死、脳卒中死を予防するかを調べました。
その結果は意外なものだったのです。なんと心臓死、脳卒中死の両グループの差はありませんでした。むしろ血圧降下薬の副作用が厳格コントロール組に多かったのです。ただ一つ、超音波診断による頚動脈血管の厚さ(動脈硬化の指標)は厳格コントロール組では改良が見られました。
研究をサポートしたNHLBI(米国立心・肺・血液研究所)の報告は最後の1点をもって厳格コントロールの利点として評価していますが、異論を唱える医師も当然ですがかなり居ます。医療費を余分にかけて、薬の副作用に苦しんでも結果が出てないと言うのです。
既にある程度治療効果が出ている患者に、さらに厳しい目標を与えることは医師も自重することになりそうですね。