高血圧症/高血圧症の症状・原因・予防法・治療法

【最新医療】 高血圧ワクチンへ期待高まる

インフルエンザワクチンのシーズンですが、高血圧に対するワクチンが開発されているのをご存知ですか? 近い将来に臨床応用の期待が高まる高血圧ワクチンについてご説明します。

執筆者:吉國 友和

「50代からの健康法」、多くの読者の方にAll About プロファイルアンケートにご協力いただきまして、大変ありがとうございました! その中でサイトへのご要望として「最新の医療情報を知りたい」ということがありました。ガイドメールマガジンでは医学に関する最新情報も盛り込んでお届けし、サイトではできるだけ確立された健康法をご紹介してきましたが、今回はご要望に対する特別編として最新情報の1つ、「高血圧ワクチン」についてご紹介したいと思います。


高血圧ワクチンとは?

血圧測定
家庭で血圧を計測する場合には、実測値に5mmHg程度プラスして目安にしてください
ワクチンと言うと多くの場合インフルエンザや麻疹(はしか)、肺炎球菌といった感染症をイメージしますが、高血圧に対する「ワクチン」の開発が進んでいます。家の鍵で開くのは家の錠前、自転車の鍵は自転車の錠前といった具合に、血圧を上昇させる鍵となる「ホルモン」は合致する錠前である「ホルモン受容体」に結びつくことで作用が出現します。高血圧ワクチンは錠前の穴を別の鍵でフタをすることで、元来の鍵を使えなくする(ホルモンが作用しなくなる)のです。


血圧上昇に関わる物質の1つ、アンギオテンシン

適度なアルコール摂取を
適度なアルコール摂取によって動脈硬化の進行を遅らせることが可能です
少し難しいお話になりますが、まず血圧について最小限知っておく必要があります。血圧はアドレナリン(別名:エピネフリン)などの作用によってコントロールされますが、この他にも血圧上昇作用を有する物質の1つにアンギオテンシン(アンジオテンシン)というものがあります。

アンギオテンシンは肝臓などで作られるレニンという物質がアンギオテンシン1(ローマ数字で1)となり、主に腎臓から分泌されるアンギオテンシン・コンバーティング・エンザイム(略してACE)という活性化酵素によってアンギオテンシン2(ローマ数字で2)となることで血管が縮む作用が現れるようになります。活性化したアンギオテンシンが作用するための受け口であるアンギオテンシン受容体に付着すると、体内で血圧上昇作用が生じることになります。

実際の臨床でも、活性化酵素を阻害してアンギオテンシンを活性化させないためのACE阻害薬、アンギオテンシン受容体に作用するARB(アンギオテンシン受容体阻害薬)といったものが降圧薬として広く応用されています。ちなみにアンギオテンシンという名前の由来は、アンギオ(血管)・テンシン(tension:収縮、緊張)の通り、血管を収縮させ血流の抵抗を増すことで血圧が上昇する作用からきています。


次のページでは高血圧ワクチンの効果と、生活習慣に関わる今後のワクチンへの期待についてご紹介します。
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