強迫神経症・不安神経症・パニック障害/パニック障害

酸素とパニック発作の関係

生命を維持する為に必須の酸素。酸欠になって、酸素を求めるときは勿論ですが、不安やストレスなどが原因で、呼吸が発作的に速く深くなる事もあります。これはパニック発作の引き金にもなるのです。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

不安やストレスを抱えていると、発作的に呼吸が速く深くなることがあります
不安やストレスを抱えていると、発作的に呼吸が速く深くなることがあります
人は酸素が無いと生きていけません。呼吸する事によって、酸素は体内に取り込まれ、体内で生じた二酸化炭素は取り除かれます。もしも酸欠になったら、人の体は、酸素を体の中にできるだけ多く取り入れようと、呼吸が早く深くなります。

しかし、酸欠でないにもかかわらず、不安やストレスを心の中に抱えていると、発作的に呼吸が速く深くなる、“過換気”の状態になることがあり、パニック発作の引き金となったり、また、パニック発作の症状を相乗的に悪化させることがあります。今回は、普段、呼吸している酸素が、時には、心の病気の症状に関わり合ってしまう事を、お話したいと思います。


過換気時の生理的な反応

発作的に呼吸が速く深い、過換気の状態になると、血液中の酸素濃度は急上昇し、反対に、血液中の二酸化炭素は急低下します。生体は血液中のpH(水素イオン濃度)を一定に保つ為、ある程度、二酸化炭素が血液中に存在する事を必要としますが、発作的に過換気になってしまうと、血液中から二酸化炭素が過度に取り除かれ、血液は大きくアルカリ性(アルカローシスと呼ばれます)に傾いてしまい、重大な生理的な反応が生じます。

脳の動脈は収縮してしまい、脳への血流が低下してしまうので、体内は酸素でいっぱいなのに、脳へ酸素を運べないという意外な状況が生じます。脳が酸欠になると、不安感は増強し、呼吸はより速く深くなってしまい、血液中の二酸化炭素がもっと低下するという悪循環に陥ってしまいます。また、血液中の電解質の濃度にも異常が生じ、過換気症候群と呼ばれる、広範な症状が出現します。

>>次に、過換気症候群の詳細とその対処法について述べます。 次ページへ>>
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