過敏性腸症候群・IBS/過敏性腸症候群の症状・原因・検査法

治らない下痢・便秘…「過敏性腸症候群」(2ページ目)

排便回数が多かったり、逆に便秘が続いたり…でも大腸の検査をしても異常がない。そんな時は「過敏性腸症候群」の可能性があります。命に関わるものではありませんが、自分にあった対処方法をみつけましょう。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

原因:不明

現在の検査方法では異常を確認できないので、過敏性腸症候群の原因については断定する事ができません。しかし以下のような複数の原因が考えられています。

腸管感染
腸管感染がきっかけで発症することが知られています。食中毒などの後で発症した場合は、自然治癒傾向が強いので、別の疾患と考えられます。

便の性状が悪い
原因とも結果とも取れますが、便の水分量が多ければ下痢型、逆に水分量が少なければ便秘型になるのは確かです。

腸の感覚に異常がある
特に下痢型の場合、腸の感覚が過敏になっている事が排便回数の多さに関係しています。逆に便秘型では感覚が落ちていて排便がうまく行かなくなっている可能性があります。

ストレス
ストレスがあると症状が強くなるので、ストレスが関係している事は確実です。しかし何をストレスに感じるかは個人差があります。

腸内細菌叢の変化
腸内には100兆の微生物がいます。個人差もあり、食事の内容によっても変化するので、過敏性腸症候群を招くことも考えられます。


治療:プラセボ(偽薬)が40%も有効!

高分子吸収体
高分子吸収体は下痢型・便秘型両方に有効です!
現在の治療でも、原因を推定しながらの試行錯誤が続けられています。

  • 便の性状を整える高分子吸収体
  • ストレスに対する向精神薬
  • プロバイオティクス(乳酸菌)
などを組み合わせて使っています。

過敏性腸症候群の治療薬の報告で特筆すべき事は、プラセボの効果が高いことです。より良い治療法を発見するために、患者の同意を得た上で、本当の薬か偽薬かを医師も患者も知らない状態で服用する試験があるのですが、過敏性腸症候群では偽薬の有効率が40%以上あることが報告されているのです。

このために治療薬の開発はますます困難になっていますが、同意の上で薬を飲んだという安心感だけでも、症状が軽減されるということが分かります。


予防法:運動とハーブティー

誰でもある日突然、過敏性腸症候群になる可能性を持っています。原因が不明なので、確実な予防方法も当然ありません。

科学的な評価はできませんが、日常的な動作以外の運動は予防効果がある可能性があります。運動中は交感神経優位の状態となり、運動後は疲労の回復と栄養の吸収のために副交感神経優位となります。結果的に消化運動に関係する自律神経系に刺激を与えることができるのです。

また、ストレスは何に対して感じるかに個人差がありますので、解消法にも個人差があるでしょう。しかし一般的にハープティーには、ストレスを緩和する効果があるといわれています。試してみるのも良いかもしれませんね。



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