肺・気道の病気/しゃっくり・横隔膜痙攣

中高年に多いシャックリの止め方

長引くと煩わしいシャックリを止める方法をご紹介します。シャックリの影に病気が隠れていることもありますが、あなたのシャックリはどのぐらい続きますか?

執筆者:吉國 友和

救急病院で当直をしていた時、70代男性の患者さんが受診されました。
「どうしましたか?」
「ヒック、しゃっくりが、ヒック、止まらなくて……ヒック!」
中高年の方の中には、しゃっくりのために救急外来を受診される患者さんも時々いらっしゃいます。今回は中高年に多いしゃっくりの原因と、それを止める方法をいくつかご紹介したいと思います。なお、医学的には「しゃっくり」を「吃逆(きつぎゃく)と」言いますが、記事を読みやすくするためにカタカナでシャックリと記載します。


横隔膜の痙攣だけが原因ではありません

会議中のしゃっくり
シャックリが止まらないと、大事な会議が台無しに!
昔からシャックリの原因は「横隔膜の痙攣」と説明されてきましたが、横隔膜の痙攣だけではシャックリが生じずに、声を出す器官である声門が閉じるときの動きにも関係していることがわかってきました。今では

シャックリとは(のどや鼻の奥を走行する)舌咽神経の刺激によって、横隔膜の収縮運動と声門閉鎖運動が協調して生じる現象

と考えられています。

多くの方が経験しているように、普通のシャックリはしばらくすると自然に治まります。ところが、中には何時間も、あるいは何日も持続するようなシャックリもあるのです。


病的なシャックリとは

どうしても自然に止まらなかったり、あるいはあまりにも繰り返したりという場合、シャックリの原因には以下のような病気(状態)が潜んでいることがあります。
  • 心因性……ストレス、神経性食思不振症などの精神疾患
  • 中枢神経……脳や脊髄の病気、頭部外傷、脳挫傷(のうざしょう)など
  • 末梢神経……心筋梗塞、腫瘍や炎症(食道・胃・肺・すい臓)、横隔膜疾患など
  • 代謝性……アルコール中毒、痛風(高尿酸血症)
  • 薬剤性……ステロイド、睡眠薬や抗痙攣薬(こうけいれんやく)の一部
この他にもシャックリを症状とする様々な病気があります。大きくわけて頭か胸、もしくはお腹の上方にある内臓が原因と考えてください。特に50代以降では、脳梗塞を代表とする中枢性疾患、あるいは胃・食道などの消化器疾患が原因となっていることがあります。

それでは、実際のシャックリの治し方についてご紹介します。


次のページではシャックリに効果の期待される漢方薬をご紹介します。
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