食と健康の基礎知識

更新日:2003年10月15日

米国が目指す健康食は「日本型食生活」

80年代から肥満や糖尿病患者が増加したため、アメリカでは食生活に関する研究が進んでいます。現在もっとも注目されているのが健康な食事ピラミッド。でもよーく見ると日本の伝統食に共通点があるのです。

悪いのは肉? 低脂肪なら何でもよい?

「健康な食事のピラミッド」がアメリカ農務省のピラミッドと大きく異なるのは、個別の食品に注目している点です。ウィレット教授は、4つの食品群や脂肪、タンパク質などの栄養素という枠組みをはずし、積極的にとるべき良い栄養素を含む食品を具体的に示しました。

アメリカ農務省のピラミッドでは、どんな食品の脂肪もよくない。炭水化物はなんでもよいとされていました。でもダイエットで脂をとらないと、若いのに肌がカサカサになるってことありますよね? 脂肪はとり過ぎれば肥満や病気の元ですが、全くとってはいけないのではなく、適度にとった方がよい脂肪もあるのです。ウィレット教授のピラミッドでは、魚や植物性の脂肪などをすすめています。


また農務省の食品ピラミッドでは、甘いものは「控えめに」という位置付けですが、低脂肪であればよいと受け止めたアメリカ人の中には低脂肪であればジャンクフードをいっぱい食べてもいいんだと思い込んだ人がいたとか・・・。
 
これは、マスコミで、「●●がよい」というとその成分にすぐ飛びつく日本人には、耳の痛い話ではないかと思います。健康情報は氾濫していますが、受け手側も食べ物として本当に何がカラダに良いのかを見極める力が必要な時期ではないかと思います。

米国が目指す食事は、実は日本の伝統食

アメリカ農務省のピラミッド、ウィレット教授のピラミッド、どちらを見ても、これまでの欧米型の肉食偏重の食事というよりは、穀類を主食に野菜をしっかりとる日本の伝統食をお手本に、より幅広い食品を盛りこんだ形になっています。

さらにウィレット教授のピラミッドでは、具体的な食品が示され、玄米などの精製度の低い食べ物や豆類など、いわゆる粗食食品などを推奨しており、ウィレット教授は「アジアと地中海の伝統食に学べ」と示しています。アメリカで80年代から始まりいまだに続くSUSHIやTOFUなどの和食や日本発の「マクロビオティック」のブームが続いているのは、こういう背景があるのです。


情報に振り回されないために

「健康な食事のピラミッド」は、農務省のピラミッドと比較した調査でも健康づくりの指針として、有効だと言われています。ただ、アメリカ農務省ピラミッドが改善されたように、今後も新たに問題点が見つかり変化していくかもしれません。というのは、アメリカでもサプリメントをとることの是非が問われ始めているからです。

では、いったい何を信じればよいのでしょう??

私は、本来食べ物、すべて健康食品だと思うのです。食べ物の栄養が私たちのカラダの、命の源となります。肉が悪い、甘いものが悪いというよりも、今の日本やアメリカなどの先進国で問題となっているのは、栄養が不足することによる病気ではなく、過剰摂取による食べ方によるものです。

各国の伝統食は、気候風土にそい、必ずやその土地で生きるヒトが健康にいるために必要な栄養をも包括しています。また永年厳しい自然の中で生きて来た先人の知恵の宝庫でもあります。

伝統食やスローフード運動は、一時の流行やブームで消費されるものではあってはなりません。伝統食という基本に立ち返ることで、巷に溢れる健康情報に振り回されずにすむのではないかと私は思います。

■関連リンク
食事ピラミッドについて
米国発 新・食のピラミッド
アメリカの生活習慣病予防対策
健康増進に「5 a day」(食と健康)
デザイナーフーズって何?(食と健康)
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日本の伝統食について
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南 恵子

NR(独立行政法人国立健康・栄養研究所認定 栄養情報担当者)、フードコーディネーター。食と健康アドバ…

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