起業・会社設立のノウハウ/フリーランスになる

常に不安を抱えている人は、貯蓄力が低い!?

自分の裁量でどのようにでも仕事ができるけれど、収入が不安定、公的な保障が少ないフリーランス。日々の生活だけではなく、先々の不安や心配事は尽きません。不安や心配事を解消するには、お金の力を利用することです。お金をコントロールする力、お金を貯める力が欠かせないのです。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

不安解消には、自分の財政状況を把握することから

お金力をアップするにはどうする?

お金力をアップするにはどうする?

会社員の場合は、残業代などで多少の変動はあるものの、ある程度、毎月の収入が一定なので、生活設計や将来設計を考えやすいでしょう。しかし、毎月決まった収入が約束されていないフリーランスや個人事業主の場合は、毎月が変化の連続。一度決めた生活設計が崩れることも考えられます。

定期的な売上が見込める取引があっても、いつ契約が終わりになるかわかりません。病気やケガなどをしてしまえばその時点で、取引が終わってしまうこともありえます。会社員なら公的な保障制度によって、すぐに生活に困るということはありませんが、フリーランスの場合は、収入の減少に対応できる公的な保障制度はなく、自分の身は自分で守るしかないのです。

こうしたリスクや不安があっても、やはり自分の裁量で仕事ができ、収入を上げていくことができるのは、フリーランスの魅力ではありますが、それも、自分の財政状況をしっかりコントロールできてこそ。売上の見通しはどうか、生活にかかるお金はいくらなのか、貯蓄はどうしていくのか、不足するなら、売上を伸ばすにはどうしたらいいのか。常に自分の財政状況を把握する必要があるのです。

お金の流れをコントロールできるようになれば、毎月の収入の多寡にばかり気を取られることなく、仕事に注力することができます。精神的な安定はお金によってもたらされるでしょう。そうなれば、本当の意味でフリーランスとしての成功を導き出すことができるはずです。

確定申告はフリーランスの決算

お金の流れをコントロールするには、3つのポイントがあります。

1.入ってくるお金=収入を予測、把握する
2.出ていくお金=支出を予算化、精算する
3.貯めるお金=貯蓄計画を立て、先取りする

フリーランスの場合は、毎月の収支をコントロールするのは、非常に難しいものです。売上の変動もあれば、請求と入金のタイムラグもあります。支出に関しても、基本生活費以外に、売上のための原価(仕入れなど)や経費にもバラツキがあり、精算するにも、タイムラグが発生するケースもあるでしょう。毎月の変動が大きいと、貯蓄も躊躇してしまいがち。収入から先取りするのではなく、残ったら貯蓄というやり方になってしまうと、いっこうにお金を貯めることはできません。3つのお金の流れをコントロールする方法について、みていきましょう。

1と2の収支のコントロールには、年間、半年、4半期などと区切りをつけて考えるのがいいでしょう。フリーランスの場合は、確定申告をしなければなりません。面倒なことではありますが、別の見方をすれば、1年に1回、自分の財政状況の決算を確定申告で自ずとチェックしていることになります。また、確定申告の準備として、半年に1回、もしくは4半期(3カ月)ごとに収支のチェックをしておけば、売上と支出の関係を見直すことができるでしょう。

支出に関しては、少なくとも生活費の部分は、会社員だろうとフリーランスであろうと、きちんと予算を立てて使いすぎがないか、ムダがないかをみておく必要があります。収入が多い月と少ない月で支出に大きな違いがでないようにコントロールすることが大事です。とかく収入が多い月は、ムダ遣いが増えがち。ボーナスがない分、支出は年間でできるだけ平準化することが、使いすぎを防ぐコツです。

貯蓄力を高めることが不安を解消するひとつの方法

収支の予測が経てば、月間での変動が多少あっても、不安を感じることはありません。さらに不安を解消するには、ある程度の「貯蓄」を確保しておくことです。

会社員なら、万一退職しても失業保険による保障がありますし、病気やケガで会社を休み、収入が減っても、傷病手当金という制度によって、一定の収入が保障されます。フリーランスはこうした公的な保障がないので、自分で貯蓄をして、万一に備えておく必要があるのです。

また、貯蓄があれば、自分の方針にそぐわない仕事に固執することや、新しいことへのチャレンジに躊躇することもなくなるでしょう。それは生活の不安を貯蓄が解消してくれるからです。

貯蓄の鉄板の法則は、先取り貯蓄です。収入から貯蓄をまず差し引き、残ったお金で生活をする習慣をみにつけましょう。

収入―支出=貯蓄・・・×
収入―貯蓄=支出・・・○

これはフリーランスでは徹底して実践すべきことです。収入が不安定だから、残ったお金を貯蓄すると考えがちですが、それではいつまでたっても貯蓄できないでしょう。そのことが不安を増長させることにもなります。会社員の場合でもそうですが、収入が多いから貯蓄ができるわけではありません。年収300万円、400万円という人のほうが、貯蓄に対する意識が高いケースも多くみられます。

貯蓄ができない人の多くは、目標が不明確ということがあります。フリーランスであれば、万一収入が途絶えても当面の生活に困らない金額、たとえば生活費の3カ月分~半年分を貯めることを目標に毎月の貯蓄額を決めるといいでしょう。今、貯蓄がゼロ、あるいは100万円以下の人は、まずは100万円を目標にしてもいいでしょう。

目標を決めて達成させるプランを作るのは、仕事と同じです。目標もなく仕事をしていれば、達成感を味わうこともないのです。貯蓄ができないという人は、仕事に対しても同じような言い訳をしていませんか。

貯蓄を増やすには、積み立てが一番

貯蓄を確実に増やすのは、会社員であってもフリーランスであっても「積立貯蓄」がベストです。ただフリーランスの場合は、非課税特典のある財形貯蓄制度が使えないので、強制的に貯蓄できるシステムを自分で選びとっていかなければなりません。

まず、優先すべきなのは、確定拠出年金(個人型)。月額6万8000円(国民年金基金と合算の限度額)まで利用することができ、掛け金は全額所得控除になるので、フリーランスは節税という観点からもぜひ活用すべき制度です。また、受取開始が60歳からなので、言ってみればフリーランスの個人年金という位置づけです。将来の不安を解消するためにも検討してみるといいでしょう。

取扱金融機関は限定されていますので、自分にとって使い勝手のいい金融機関を探して直接申し込みをします。掛け金の範囲で、複数の商品を分散して選択できるので、半分は元本保証の商品、半分はリスクがあるけれどリターンが見込める商品、というように分けるといいでしょう。

もうひとつは、取引銀行での自動積立定期預金。とかくフリーランスは仕事のお金と生活費がごちゃごちゃになりがち。できれば収入の口座と生活費口座を分けるのがベストですが、そこまでしなくとも、少なくとも貯蓄は収入から確実に貯められるように、取引銀行で自動積立定期預金をすることです。

使ってしまう前に、月末など指定の日にちを決めて、毎月一定額を自動的に定期預金に振り替えてくれますので、貯蓄し忘れ、ということがありません。貯蓄グセがついていない人は、自動的に貯められるシステムを使うことが優先となります。
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