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フリーターは本当に自由なのかの考察(1)(2ページ目)

フリーターは、会社に縛られず自由に暮せるように見えるが、それは本当に「自由」なのだろうか。それは雇用形態の問題ではなく、本当の「自由」を、自在に生み出せる力と環境を手に入れることではないだろうか。

執筆者:見舘 好隆

フリーターのメリット?1「会社に縛られず自由に暮らす」

空
ずっと空を仰いでいても、空は自由は与えてくれない。
フリーターは確かに正社員より拘束時間は短いようにみえる。そして辞めたくなれば、辞めやすい気がする。でも実際どうだろうか。

まず「拘束時間」について。確かに、社員になると任された仕事の処理が時間内に終わらなかったり、急に上司に仕事を言いつけられたりして残業することも多いが、フリーターであっても時給をもらっている以上、拘束時間は存在する。確かに社員に比べて拘束時間のコントロールしやすいかもしれないが、完全なる「自由」ではない。

また「退職」に関しては、一見フリーターの方が辞めやすく感じるかもしれないが、労働基準法上「いつ辞めてもいい」点においては、フリーターも社員も全く同じだ。現実、辞めやすいと感じたとしても、それはフリーターの「業務内容」が、「いつでも替えが効く(モジュール化された)仕事」だからとめられにくいだけである。逆に、「いつ辞めさせてもいい」点においては、フリーターの方が圧倒的に不利になる。もともと、そんな雇用調節の対象として、アルバイトは存在するのだから(社員には「異動」「出向」といった雇用調節ができる)。

よって、「自分の時間を作りやすい」「いつでも辞めることができる」という観点では、実はあまりフリーターは「自由」ではない。さらに言えば、社員の方が「自分の時間を作りやすい」と私は思う。

それはなぜか?箇条書きにしてみる。
    休暇について
    休暇には「法定休暇」「法定外休暇」がある。しかしフリーターには「法定外休暇」はもらえない(くれる会社も一部ある)。
    「法定休暇」とは、法律で付与義務が定められている休暇のこと。年次有給休暇・産前産後休暇・生理休暇(労働基準法)、看護休暇(育児介護休業法)、通院休暇(男女雇用機会均等法・母子保健法)がある。例えば年次有給休暇の場合、「雇い入れの日から起算して6か月以上の継続勤務」「その間の所定労働日数の8割以上の出勤」を満たせば付与される(労働基準法第39条第1項)。
    「法定外休暇」とは、いわゆる「特別休暇」のことで、会社独自に就業規則・労働協約に定める休暇のこと。つまり法律はおよばない。傷病休暇(風邪など)・慶弔休暇(結婚・忌引)・夏期休暇・年末年始休暇・リフレッシュ休暇など。特にフリーターで辛いのは、傷病休暇と慶弔休暇だろう。風邪ひいたら同僚やお客様に風邪をうつすわけにいかないので、休まなければならない。しかし給料は一円も出ない。同様に、身内に不幸があって休むのは当たり前だし、誰も文句は言わないが、給料は一円も出ない。

    仕事の個人裁量部分について
    フリーターの業務は、基本的に「マニュアル化」された仕事である。つまり、新しく仕事を生み出すことも、改善することも求められてはいない。よって、マニュアル通りに、決められた指標を目安に、仕事を行うことになる。社員は違う。入社当時はマニュアル化された仕事ばかりであっても、基本業務を修得した後は、その業務の応用を求められる。少し手が空いたのなら、新しい仕事を生み出さなくてはならない。また改善策を思いつけばそれを提案しなくてはならない。つまり、事前にその旨を上司に伝えておけば、「マニュアル」には載っていない仕事をしてもいいのだ。特に広告営業などの営業職であれば、ずっと社外で仕事することになる。どんな順番でどこに営業をかけるかは「自由」だ。

    退職した時の補助について
    社員として一定期間勤務すれば、失業保険と退職金が出る。さて、フリーターはどうだろうか。まず失業保険、つまり雇用保険はフリーターであっても「6か月以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること」「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」であれば雇用者は加入手続きをしなくてはなりません(雇用保険法)。よって、フリーターであっても失業保険は条件をクリアすればもらえるので、ちゃんと雇用保険に入っているかを確認しよう。ただし、退職金はもらえない。これは覚悟しておこう。
    ※失業保険(基本手当)の金額はこちらを参照。ざっくり説明すると、6か月分の給料を180日で割ると、日給が出るよね(「賃金日額」)。それに応じて「基本手当日額」が決まる(「賃金日額」の約50~80%。例えば月20万なら約70%)。それが雇用保険の加入期間によって定めたもらえる日数(「所定給付日数」)を掛ければ金額が出ます。尚、自己理由による退職の場合の「所定給付日数」は、10年未満なら90日。つまり3か月分となる。まとめると、70%×90日=63日。つまりおおよそ2か月分の給与が出る計算になる。ざっくりですが。


  • ずっと先のことについて
    ずっと先のこと。つまり年金の話。企業なら厚生年金、フリーターなら国民年金となる。これも思いっきりざっくり話すと、厚生年金なら月額約18万、国民年金なら月額約6万だ。社員とフリーターとで比べただけで、約3倍。そもそも月額約6万では家賃も出ないぞ。ずっと先のことだけど、ずっと先の「自由」が、格段に違うよ。
    ※年金の受給額は毎年刻々と変わるので、詳しいことはこちらで調べよう。

  • 目先の生活なら、確かにフリーターの方が一見「自由」だ。でも、長いスパンにおける、もしくは人生の一大事における「ココロの自由」は、社員の方が圧倒的に上だということを、知っておこう。


    ※次のページで、フリーターのメリット?2「夢を追い続ける」について考察する!

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