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駐車違反の反則金、正しい経理の方法は?

平成18年6月から、道路交通法が改正されました。配送業者の方々をはじめとして、罰金(違反金)の納付をしなければならない機会が増えるのでは、と言われています。今回は「罰金」の取り扱いについて解説します。

執筆者:森 康博

とうとう、始まりましたね……

駐車違反
「ちょっとだけだから……」こんなことも、ダメになりました。

この6月から、いわゆる「改正道路交通法」が施行されました。今回の改正はマスコミでもかなりアナウンスされていますので、みなさんもご存知のことと思いますが、簡単にまとめてみますと、

  • 警察官以外の民間の監視員も取締りをする。
  • 駐車時間に関係なく違反を取り締まる。
  • 運転者が反則金の支払いをしないと、違反車の所有者などに「放置違反金」の納付の請求が来る。
といったところでしょうか。

その法改正の内容や、実際の運用については賛否両論ありますが、その是非はもともかく法律が施行されてしまった以上、実務的な対応をしないといけません。

もし、あなたの会社の方が、駐車違反で罰金を支払うことになった場合、経理としてはどのようにすればよいのでしょうか?
また、交通違反となってしまうと、違反者の方も、その方を雇用する会社としても不幸なこと。違反となってしまう以前に今回の法改正に対応するために「経理の仕事」としてできることは、何かないのでしょうか?

「罰金」は経費になりません!?

トボトボ
「駐車違反やっちゃったよ。部長に大目玉だなー」会社で負担するにせよ、個人で負担するにせよ、罰金って嫌なものですよねー。

最初に基本である、交通違反でかかってくる「交通反則金」、いわゆる罰金を会社や個人事業で負担した場合の会計上・税務上の取り扱いから解説していきましょう。

ここでは「仕事上、やむを得ず罰金がかかってしまった」という前提のもとで話を進めていきます。なぜなら、「仕事に関係のないところでかかった罰金」はプライベートな出費なので、そもそも経費とするのはおかしいですよね。

【会計上の取り扱い】
  • 「租税公課」などの経費として処理することも可能です。
    【税務上の取り扱い】
  • 罰金を支払わねばならなくなってしまった理由を問わず、経費に出来ません。

    会計上「経費として処理できる」のは、「たとえ個人に対して課された罰金だったとしても、それは仕事上止むを得ないもので、会社にも関係があるといえるので」という理由があってのもの。「仕事との関連性」を考えたうえで、「経費として処理できる」ということになっています。

    税務上「経費として処理できない」理由は「たとえ仕事に関係があるとはいえ、罰金を経費として処理できてしまうと、その分税金の負担が少なくなってしまう」からです。
    たとえば、税率が40%の場合、利益が100の会社であれば、その税負担は100×40%=40となりますが、同じ利益の会社が40の罰金を支払って経費とした場合、その税負担は(100-40)×40%=24となり、16も税負担が軽くなってしまいます。

    罰金を経費とすることで税負担が軽くなるのならば、「罰」としての効果が薄まってしまいます。ですから、会計ではどのような処理をしても良いけれど、「課税の公平」を図るために税務上は一律「経費としてはいけない」と決めているのです。

    大抵の会社の場合は、会計上は「租税公課」等の経費として計上し、税務上、税金の計算をするときに一定の調整を加えて調整する場合が多いようです。また、個人事業の場合は、最初から経費としてカウントしない方法が最もポピュラーです。

    ちなみに、仮に「仕事に関係のないところでかかった罰金」を会社が負担した場合、それは税務上「会社から罰金のかかった人へのボーナス」として取り扱われます。だって、その人は本来払うべき罰金分、トクしちゃったわけですからね。

    では、新たに生まれた「放置違反金」の取り扱いはどうなるのでしょう?
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