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資本金とは?資本金が多い会社の価値と判断方法

資本金は会社の価値を判断するとき、注目すべきポイントのひとつ。「資本金が多い会社は安心だ」という理解は正しいのでしょうか?資本金とは何か、資本金は何に使うのか、資本金が多い会社の価値や判断方法まで、解説します。

渋田 貴正

執筆者:渋田 貴正

企業経営のサポートガイド

 

資本金からわかることとは?

資本金が多い会社は安心?会社の価値はどうやって判断する?

資本金とは何?資本金からわかることとは

資本金とは、事業運営の基礎となる資金のことで、株式会社の場合は、投資家から集めた出資金額の合計をいいます。今回は資金調達に伴う資本金を例に、資本金についてのわかりやすい解説と共に、資本金による会社の価値判断についても解説します。

<目次>

会社の資金調達手段は大きく分けて3つ

新規事業の立ち上げでお金が必要となったとき、会社がお金を調達する方法は大きく分けて3種類があります。

1内部留保
内部留保とは、簡単に言えば、それまで上げてきた利益などを積みあげて、貯まったお金のことです。

2.借入金
2つめは、金融機関からお金を借りるという方法です。

3.増資
最後が投資家から出資を募集(これを増資といいます)することです。
 

資本金とは「投資家から集めた出資金額の合計」

ここでは内部留保は使わず、新たに外部から資金を調達すると仮定しましょう。そうなると、使える手段は借入または増資です。借入で調達した資金は借入金として負債の部に計上され、増資で調達した資金は資本金となります。このように、資本金とは、資金調達を増資で行った場合に、投資家から集めた出資金額の合計をいいます。厳密にいえば、一部のお金は資本準備金という別の項目とすることもできますが、話が複雑になるので、全て資本金に計上することとします。

ちなみに、創業時は、他者から出資を受けるのはハードルが高いので、多くの場合は自分で自分の会社に出資します。そのため、会社を設立した際の最初の資本金は自己資金で始まるケースがほとんどです。
 

資本金で会社の価値を判断できる?

資本金とは、過去に出資を受けた額の合計額です。ここで重要なことは、資本金の額はその後の会社の業績とは切り離されて金額が固定される、ということです。つまり、会社が新規事業からどれだけ利益を上げても資本金の額は変わらないのです。

簡単な例を挙げてみましょう。トヨタの資本金は約6300億円です。相当な金額に見えますが、トヨタ自動車の利益(売上ではありません)は年間1兆円という数字であり、今後も利益を上げ続けることを考えると、会社の価値が6300億円のわけがないということは誰にでもわかります。

このように資本金はあくまで出資を受けた元手であり、その後その出資を利用して生み出した価値の増加、または新規事業など失敗による赤字からの価値の減少を反映していないのです。もっといえば、資本金の額だけを見て、会社の価値を判断することは危険ですらあります。極端な例ですが、上場廃止となったスカイマークの資本金は約140億円でしたが、最後は株も無価値となりました。このことからも、単純に資本金の額で会社の価値は判断できないことが分かります。
 

資本金が多い会社は安心?会社の価値はどうやって判断する?

まずは、そもそも会社の価値とはなんでしょうか。考える観点によって、顧客満足度や従業員満足度、社会貢献度などいろいろな尺度がありますが、お金の観点からは、将来どの程度の利益を上げられるかという基準で測ります。会社は継続していくことが前提である以上、将来に目を向けて価値を測るのは当然といえます。

それまでどれだけ良い業績を積み上げても、例えば、翌年国の政策転換や顧客嗜好の変化などで一気に業績の悪化が見込まれる会社があるとしたら、その会社の価値は低いものとなります。逆に、その会社がその後数年にわたって業績を伸ばしていけば、当初集めた資本金の何倍もの価値をもつことになるのです。

実際には、将来の利益は、プロのアナリストが経済政策や企業の経営方針など様々な情報を駆使してようやく算出できるもので、その数字も必ずしも当たるとは限りません。

このように、会社の価値を厳密に計算すること自体が相当困難であり、会社の価値の増加、もしくは減少の方向性を見極められることだけでも相当なスキルが要求されます。基本的に株価は会社の価値を表しますので、もし会社の価値の方向性をある程度正確に予測できれば、投資でもかなり優位に立つことができます。

会社の価値は、資本金のような見かけの数字ではなく、もっと会社の事業展開や政策を理解しないと分からない、深いものなのです。

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