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更新日:2005年08月10日

「失われた10年」は教訓となったのか? 「住宅バブル」の兆候!米国経済

「踊り場」を脱却した日本経済。景気に明るさが見えつつありますが、海の向こうアメリカでは「住宅バブル」が懸念されています。はたして日本のマイホーム市場に影響はあるのでしょうか?

「もっと早く買えばよかった」 加熱する米国の住宅事情


 先日、日経新聞を読んでいて、気になる記事がありました(7月24日付け朝刊より引用)。

 日本のマンション販売によくある「希望者多数の場合は抽選」という文言は米国にはない。住宅は、締め切り日までに買い手がそれぞれ購入希望価格(指し値)を提示し、最高額をつけた人が購入権を得る。米シリコンバレーに住むソフトウエア技術者のペン・チョンさん(37)夫妻は最近、4度目の挑戦で念願のマイホームを手に入れた。

 昨年まで賃貸住宅に住んでいたが、住宅価格の高騰に焦りを感じて購入を決意。次々と入札したが、なかなか落札できない。毎週末の家めぐりにも疲れ、4つめの物件では「これで決めよう」と慎重に“指し値”を探った。売り主の提示価格は44万ドル(4900万円)。思い切って49万5000ドルをつけたら「あと3000ドル上乗せしないか」と打診された。これを了承して、ようやく購入できた。

 米国では住宅ブームが過熱。利上げが始まれば住宅価格は落ち着くとの期待もあったが、実際には上昇を続けている。「もっと早く買えばよかった」というのが、ペンさんのいつわらざる気持ちだ。   


景気の基調判断について、8月の月例経済報告(8月9日発表)では「踊り場を脱している」と上方修正が行なわれ、日本経済は「元気」を取り戻しつつあることが読み取れるまでになりましたが、海の向こうアメリカでは住宅バブルとの指摘があり、警戒感が強まっています。野村證券が発行する「野村週報(7月18日号)」によると、


「本年3月末時点の住宅価格上昇率をみると、全米平均で前年比12.5%の上昇、過去5年間では50%以上の上昇となっている。州ごとに見ると、西部のネバダ(前年比上昇率31%)、カリフォルニア(同25%)などを筆頭に、両岸地域の上昇率が大きい」


と報告しています。また、「米国:ホームエクイティローンと住宅価格」と題する三菱証券のエコノミストレポートにも、最近の住宅価格の上昇について


「05年1~3月期の住宅価格は前年比12.5%と高い伸びを保っており、海岸部では特に高い上昇率を見せている。カリフォルニア州は前年比25%、ワシントンDCは同22%、フロリダ州同21%などとなっている。また、2004年からの特徴としては、いままで低い上昇率に止まってきた地域も大きく上昇している。80年代後半の住宅価格の上昇した時期を振り返ると、沿岸部の価格変動は激しかったものの地域間の同時性は薄かった。90年代後半からの今回の上昇局面も沿岸部の上昇が最も大きいが、今回は全国的な同時性が増しているようにみえる」


と概観しています。


行き場を失った「投資マネー」が地価を引き上げる


このように、住宅価格が上昇している最たる原因は、米国の「低金利」以外の何者でもなく、我が日本を振り返ってみても、「低金利」や「低価格」を背景に(相も変わらず)マンションブームが堅調なことから、そのメカニズム(=低金利の恩恵)がまったく同じであることが分かると思います。

しかしアメリカでは、冒頭で触れた「住宅価格の高騰=住宅バブルの兆候」を筆頭に、物価や賃金の上昇圧力が高まってきたことへの警戒感から、8月9日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利(FFレート)を引き上げ、年3.5%とすることを決めました。昨年6月末から“10回連続”の金利引き上げとなっており、こうした利上げは「アメリカ経済が堅調であることの証(あかし)」であると解される一方、バブル(泡)がはじけないようにするための予防線とも受け取れます。
 
日本では、今年に入り発表された公示地価や路線価の傾向として、「全体では連続して下落しているものの、東京など一部では反転するエリアも出てきている」ことが伝えられています。実は、こうした地価引き上げの原動力となっているのが、米国同様「低金利」によるところが大きく、機関投資家はもとより個人投資家までもが比較的利回りの高いREIT(不動産投資信託)に代表される不動産投資へ向かったことで、将来価値の高い都心部や再開発エリアに「投資マネー」が流入し、地価の上昇へとつながっています。

【関連コラム】東京都の路線価が13年ぶりに上昇(住宅購入のノウハウ)


日本にも「住宅バブル」はやってくるのか?


こうした一連の流れをみるにつれ、「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪を引く」といわれる日米関係のなか、長引く低金利を背景に「日本も住宅バブルになるのではないか?」と想像してしまいがちです。

しかし(幸か不幸か)、その心配は不要でしょう。「バブル」とは、実体経済以上に価格だけが高騰する現象ですが、デフレから完全に脱却するのに十分な基盤は整っておらず、また、不動産マーケットは供給過剰で、在庫調整も順調ではないからです。

1980年代後半のバブル期に「いい思い」をした方にとっては、ほのかな期待を抱くのも無理ないかもしれません。しかし、「バブル=泡」はかならず破裂します。「失われた10年」を“過去の思い出”とするためにも、日本経済はソフトランディングが一番でしょう。


【関連コラム】買い替えで年金が作れるアメリカ(家の買い替え)

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平賀 功一

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