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住宅ローン「リスク分散」で金利上昇に勝つ

上昇基調を強める住宅ローン金利。終わりの見えない先高感は不安ですが、「リスク分散」させることで、金利変動リスクを低減させることができます。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


住宅ローン「リスク分散」で金利上昇に勝つ
「日本銀行が「量的緩和政策」を解除して、まもなく2カ月となりますが、長期金利はじりじりと上昇を続けており、住宅ローン金利の引き上げ要因となっています。ところが、長期金利の上昇トレンドは日本だけでなく、欧米でも同様の傾向を示しています。米国の10年国債を例に取れば、年初に4.3%台であったのが4月下旬には5.1%台まで上がっており、また、日本でも2%台をつけるほどの勢いで上昇を続けており(下記グラフ参照)、方向感は世界的にジリ高基調の様相です。

4月中旬に開催されたG7(財務相・中央銀行総裁会議)終了後に、日銀の福井総裁は日米欧の世界的な長期金利の上昇について、「現状はITバブル崩壊後の超・金融緩和から復帰する正常化の過程にある」との認識を強調していましたが、住宅ローンに関しては“逆風”なのが現状であり、これからローンを組む方、あるいは、借り替えの方を含め「どのような対策を立てればいいのか」思案のしどころでしょう。そこで今回、金利変動リスクに負けない住宅ローンの組み方をご紹介したいと思います。

    日本の長期金利(10年物国債)の推移 (単位:%)


「ゼロ金利政策」の解除時期が、金利トレンドの転換点


まず、誰もが気になるのが「金利上昇はいつまで続くのか?」です。量的緩和政策の解除効果が実体経済に浸透したことによって、長期金利が上昇したことをかんがみれば、来るべき「ゼロ金利政策」の解除が金利に影響を与えることは想像に難しくありません。

現在、ゼロ金利の解除時期をめぐり色々な憶測が飛び交っていますが、企業業績や個人消費が堅調に推移し、内需主導による景気回復が本格化してきたことで、「ゼロ金利政策の解除時期が早まる」といった観測が台頭しています。日銀の当座預金残高も減少していることから

  「最短では今年の7月(今夏)」
  「小泉総理の任期が切れる9月(今秋)」
  「来春までは続く」

というのが想定される主なシナリオです。金融市場はゼロ金利解除“後”を織り込んだ(=先取りした)動きをしますので、解除時期が確定した段階で、昨今の金利上昇は一服することは間違いありません。「解除期待」に連動して市中金利は上振れしていますので、逆に、不透明感(いつ解除されるか)が払しょくされれば、マーケットは安定感を取り戻すことになります。そこで、今夏から秋頃までじりじりと金利は上昇し、それ以降、金利の先高感は収束するものと個人的には考えています。

金利変動リスクを「相殺」できる組み合わせがポイント


とはいっても、高値更新を続ける原油(WTI)や昨今の急激な円高など、景気拡大に水を差す懸念材料は後を絶たないことから、楽観的な見通しは厳禁でしょう。そこで、金利が「上振れ(金利上昇リスク)」しても「下振れ(金利下降リスク)」してもリスクを最小限に抑えられるよう、変動金利と固定金利を組み合わせて住宅ローンを組む方法を提案したいと思います。たとえば、3000万円の借り入れを予定している場合、


 2000万円を「フラット35」 → 長期的な金利上昇に備える
 1000万円を「3年固定特約」 → 少しでも低金利の恩恵を享受


といった具合に、金利タイプの異なる住宅ローンを複数本組み合わせることで、金利が上昇しても下降しても互いを打ち消す(相殺する)ような効果をねらうのです。

さらに、繰り上げ返済を行う際には3年固定を優先することで、「1000万円」分を早期に完済し、借入先を1本化することで気分的にも楽になれるというシナリオです。諸費用が余分にかかったり、契約時に必要書類が増えるなどのマイナス面はありますが、“リスク分散”という発想からすれば、合理的なポートフォリオ(組み方)といえます。

事実、ソニー銀行が取り扱う「部分固定金利特約型」の住宅ローンに注目が集まっており、年明け以降、利用者が増加しているそうです。金利スワップ取引の手法を応用し、変動金利の利息を部分的に固定金利の利息と交換する仕組みです。

読者の皆さまは住宅ローンを「借金」とお考えでしょうが、他方で、住宅ローンは「金融商品」としての側面を持ち合わせています。金融機関が取り扱い、さらに、様々なリスクを内包していることから住宅ローンは立派な“金融商品”と考えて異論はないはずです

金融商品である以上、借り主にはリスクコントロールが求められ、金利変動に対する「耐力」を住宅ローンに持たせることが欠かせません。金利タイプの異なるローンを組み合わせる手法は、まさに金利変動リスクを吸収できる最善策であり、金利の方向感が読みにくい中で、効果的な対応策となるでしょう。「短期固定特約」か「完全長期固定」か迷ったら、両者を“いいとこ取り”するのが、金利変動に勝つための「成功の方程式」と言えるのです。

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