新潟県中越沖地震の発生(7/16)から1カ月、柏崎市などでは被災者の生活再建を支えるべく仮設住宅への入居が始まりました。8月末までには新潟県全体で1182戸の建設が予定されており、ようやく復興への第一歩を踏み出した格好です。しかし一方、今もって避難生活を余儀なくされている人々も絶えず、その数は780名にのぼります(8/13現在)。震災の“爪痕(つめあと)”は、そう簡単に消えることはないのです。
地震の「怖さ」は色々ありますが、その1つに「人間がコントロールできない」ことが挙げられます。当然ですが、地震は自然災害。「運を天に任せる」=「なるようにしか、ならない」といった側面は否定できません。これだけ文明が発達し、科学技術が進歩した現在においても、残念ながらこうした事実は不変です。
しかし、来るべき大型地震に対して「備え」をしておくことは誰もが可能です。今後も大型地震の発生が十分に考えられ、駿河湾沖では東海地震が現実味を帯びています。自己防衛の必要性が高まっているだけに、我が家の防災点検が不可欠となっているのです。そこで、“天災は忘れた頃にやって来る”時代ではなくなった今、改めて「災害への備え」を再確認しておきましょう。
実際の被害者が語る、こんな「落とし穴」
様々なメディアが頻発する大型地震への対策情報を発信しています。「家具の転倒には注意しよう」「非常持ち出し袋を用意しておこう」と、さかんに注意喚起を促しています。しかし、いずれも一般的な基本情報ばかりで、現場の“生の声”が伝えられている例は少ない印象です。
実は以前、95年1月に発生した阪神淡路大震災へボランティアとして参加した人と話をする機会があり、被災者が実際に直面したトラブル例を聞くことができました。被災した人にしか分からない「なるほど!」といえる多くの事例を伺うことができたのでした。とても興味深い内容ばかりでしたが、その中で特に印象的だったのが
身分証明書が見つからないため、銀行へ行っても預金を引き出すことができなかったというケースです。
というのも、地元の銀行は通帳などを紛失した被災者に対し、本人確認さえできれば預金の払い戻しに応じています。また、郵便局でも同様の配慮がなされています。倒壊した建物の中から通帳や印鑑を探し出すことは困難のため、各金融機関が特例措置を講じているのです。ところが、通帳が見つからないのに、免許証などの身分証明書が見つかるはずもありません。その結果、預貯金を引き出す“手立て”がなくなり、生活に不便を来たす事態に直面することとなってしまったのでした。
また、このような事例もありました。04年10月の新潟県中越地震では専業農家の家屋が全壊したため、行政の支援制度を利用しようと手続きを行いました。ところが、
そのご家庭では将来に備えて住民票を子供たちの住む地域に移してしまっていたため、市町村の助成制度を受けられなかったというのです。
確かに、住民票がその地域になければ、実際には生活していたとしても、その実態を裏付けることはできません。行政が行う支援サービスはどうしても公的証明書を基礎とするため、その事実確認をするためのデータがない以上、どうすることもできなかったのでした。まさに、「住民票を子供たちの住む地域に移す」といった行動が裏目に出てしまった格好です。このように、被害に遭遇して初めて気が付くトラブルは例を挙げればきりがないのです。
事前対策こそが、最大の危機管理となる
今回、紹介した2つのケースはいずれも「想定の範囲外」といえるかも知れません。しかし、多くのメディアが伝えているように、「これだけは最低限、やっておかなければならない」という下限の防災準備はあるものです。前述のトラブル事例も考慮し、以下がその具体的な行動内容です。
- 住民票がどこにあるか、確認しておく
- 非常持ち出し袋の中には必ず、身分証明書や火災保険などの契約書(コピー可)を入れておく
- 保有資産の明細表を作成しておく
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3番目の「保有資産の明細書」とは、震災前と震災後の「差異」を明確に把握することで、自宅の被害状況を正確に知る材料として利用しようというものです。一覧にしておくことで、「これがなくなっている」という状況変化にすばやく気付くための事前策です。その他、一般的なこととしては次の通りです。
- 転倒や落下に備え、家具を固定しておく。また、二段重ねにしない
- 自宅の耐震化の促進
- 水や食料など、数日間の生活が自力でできるよう日頃から備蓄(用意)しておく
- 災害発生時の家族との連絡方法(安否確認)を決めておく
- 避難場所および避難ルートの確認
- 自分の住むエリアの地域危険度を知っておく
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最後の「地域危険度を知っておく」とは、文字通り自宅付近の自然災害による“リスク度合い”を知っておこうという発想です。災害特性を知ることで、対応策への立案につなげようという狙いです。また準備が不十分の方は、今すぐ実行に移すことをお勧めします。
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