文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
(記事掲載日/2008.5.4)
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国会の運営にとって大事なものの1つに「先例」があります。先例とはどのようなものなのでしょう。なぜ先例が大事にされるのでしょう。どのような先例があるのでしょうか。
先例も立派な「国会運営法規」
国会を運営するための法規としては、憲法はもちろんのことですが、詳細な運営方法として国会法、証人喚問の手続きを定めた議院証言法などの法律があります。
さらに、衆参それぞれの議院が独自に制定する規則があります。衆参微妙に異なっています。例えば本会議の開会時間は、衆議院は午後1時に、参議院は午前10時に始めることになっています。
さらに重要な法規が「先例」、つまり慣習として認められたものです。
例えば、開会式で天皇が「お言葉」を述べること、条約をできるだけ衆議院から審議すること、両院協議会を開く時のメンバーの決め方など。
さらには議員バッジをつけていないと議場に入れないことや、永年勤続表彰についてまで、先例で決まっているのです。
なかには、「帝国議会の先例で、憲法、国会法に反していないものは、なお効力を有する」という先例まであります。先例の尊重を先例が定めているのですね。
こうした先例は、1893年から早くも「先例集」として衆議院で編さんされはじめました。現在でも、「衆議院先例集」「参議院先例録」(名前が微妙に違います)が編さんされ、数年ごとのペースで編集し直されています。
また、委員会の先例についても、衆参各議院でまとめられています。まとめるのは、各議院の事務局です。
他の国の議会にも先例集は存在します。イギリスにはメイ先例集があり、またアメリカ連邦議会の下院でも十年おきくらいに先例集が作られています。
先例の必要性
なぜ先例が必要なのでしょう。
国会ではいつも激しい論戦が交わされるだけでなく、運営についても与野党の激しい攻防のなか行われています。そうしたなか、「法の不備」のために運営方式をめぐって与野党が衝突し、国会が空転するのはいいことではありません。
そこで、慣習として認められたものを先例とし、紛争の解決のための指針にしているというわけです。
とはいえ、先例を「先例集」としてまとめるだけでなく、大切なものはきちんとした法(実定法)にしておくことは重要なことです。実際、先例が国会法などに盛り込まれた例は多くあります。
しかし、先例が慣習として行われた方が、文章として固まってしまう法律や規則よりも弾力的な運用がしやすいと考えられ、あえて法文化されない先例もあります。
いずれにせよ、円滑な議会運営のために、日本だけでなく、多くの国で先例があり、それに従う慣習があるのです。
もっとも、先例は国会のなかだけで作られていくもの。変な先例がまかり通ったりしないよう、国民はしっかり監視していかなくてはならないのは当然のことですね。
ちなみに国会の先例は合計で500以上あるといわれています。明治時代から積み重なっているものですから、これくらいの数になるのです。
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■関連サイト
法律ができるまで 法案提出・審議など※参考書籍・サイト
『新・国会事典』浅野一郎・河野久/編 2004 有斐閣
『国会学入門 第2版』大野礼子 2003 三省堂