文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
(記事掲載日/2007.12.2)
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今週の政治用語解説は、「道路特定財源」についてです。小泉内閣の頃からいわれてきたことですが、よくわからない人も多いかもしれません。基本的な知識をここではお話ししていきたいと思います。
「目的税」によって徴収される予算のみなもと
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| 普通税と目的税の違い。目的税から「道路特定財源」が生みだされている。 |
税は、国税と地方税、直接税と間接税など、さまざまな区分ができますが、「普通税と目的税」という区分もされることがあります。
普通税というのは文字通り普通の税金で、一般のさまざまな経費にあてられる税金です。一方、目的税とは特定のこと、つまり公共事業であるとか、そういったもののために集められる税金です。
よく「消費税の税率を上げる代わりに福祉目的税にしよう」というのは、消費税で集まったお金をすべて福祉や年金の支出にまわそうという意味でいわれているわけです。
目的税は、特定の人々や企業など、課税される対象が限定される傾向があります。たとえば東京都は「ホテル税(宿泊税)」という目的税を課して観光整備費用にあてていますが、観光にくるのは当然東京で泊まる人なわけで、そういった人から税を徴収すれば目的税の意味に合理性がでてくるわけです。
そういった意味で目的税は、特定の人(や企業など)に負担がかかる傾向が強いものです。
日本の国の目的税
よくいわれるのが「ガソリン税」ですが、正式にはガソリン税という税金はありません。ガソリンの消費にかかる揮発油税と地方道路税を総称していわれるものがガソリン税です。
この2つはガソリンを使うドライバーや、交通会社・運送会社などがもっぱら負担する「目的税」なわけですが、揮発油税は国の、地方道路税は地方の、それぞれ道路整備財源、つまり「道路特定財源」となるわけです。
道路特定財源をまかなう税にはあと2つ、石油ガス税と自動車重量税があります。
石油ガス税は自動車用の石油ガス容器に充てる石油ガスの消費に対して、自動車重量税は文字通り自動車の重量に対して課税額が決まるもので、課税対象は揮発油税・地方道路税と同じでドライバーや車を使う企業などです。
石油ガス税は1:1の割合で、国と都道府県・政令指定都市に分配され、道路特定財源となります。自動車重量税はちょっと特殊で、2:1の割合で国と市町村に分配されるのですが、国では一般財源、つまり使い道が特定されない財源になるのですが、市町村では道路特定財源となります。
道路特定財源になるもの以外の国の目的税としては、航空燃料税、石油石炭税、電源開発促進税があります。
さきほども東京都の目的税のお話をしましたが、地方公共団体は独自の目的税を総務省との協議のうえ創設することができます。
道路特定財源の一般財源化をめぐる論争
さて、道路特定財源のための目的税が結構多いことはお話ししました。その税でまかなった財源は、平成19年度予算では約3.4兆円と、結構大きなものがあります。
しかし、今の日本は結構道路が整備されていて、特定枠を作るほどひっ迫していないのではないか。しかし国家財政全体は厳しい。そのような観点から、小泉内閣のときから、道路特定財源を、特定の目的では使わない一般財源化して財政再建しようという動きがでてきたわけです。
これには、道路特定財源が国土交通省や、いわゆる「道路族」とよばれる道路行政に大きな影響力を与える与党の国会議員たち、そして道路建設業者たちによる「鉄の三角形」の癒着の構造を作っているという批判が、背景にはありました。
しかし、地方サイドからは、まだ道路が少なく、非常に不便な状態は続いており、道路特定財源は残してほしいという要望もあります。道路特定財源がなくなると地方間格差がますます広がる、という不安の声もあります。
平成20年度からの道路特定財源見直し
さて、2002年に「道路整備費の財源等の特例に関する法律」が制定され、道路特定財源は5年間継続され、その後見直されることになりました。
今年が2007年ですから、見直す時期になったわけです。そこで政府や与党の間で激論が交わされ、2008年度予算から1800億円以上を一般財源化することになりました。また、揮発油税・自動車重量税に課せられていた暫定税率は当面据え置きとなりました。道路特定財源を高速道路料金引き下げに活用することも決まりました。
しかし一般財源化したのは道路特定財源のうち3%あまり。結局、またも道路特定財源改革は「棚上げ」ということになってしまった形です。
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日本経済新聞