よくわかる政治

更新日:2007年11月08日

中国政治の基礎知識2007[政治情勢編]

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となりの大国、中国の政治基礎知識。今回は政治情勢編です。胡錦涛政権の「今」から、広がる格差問題、環境問題、中国の外交政策について、わかりやすく解説してみました。

文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)

(記事掲載日/2007.11.8)

現代中国の政治はどうなっているのか、今回は政治情勢編です。現在、そして将来のリーダーと考えられているのは誰か、今の中国政治の課題は何か、などをわかりやすく説明していきます(中国政治基礎知識[政治制度編]についてはこちらをごらんください)。

1ページ目 【胡錦涛政権と台頭する「第五世代」】
2ページ目 【経済成長のひずみと対応の遅れ】
3ページ目 【中国の環境問題と外交政策】

「第4世代のリーダー」胡錦涛

第4世代まで
第1世代から第4世代までのリーダーたち
現在の胡錦涛国家主席は、「第4世代のリーダー」と考えられています。

第1世代とは、1949年の中華人民共和国成立を担った世代で、毛沢東が主要なリーダーでした。しかし、経済政策をめぐって鋭い対立が起こり、毛沢東がしかけた文化大革命によって政治は混乱、多くの人々が弾圧されてしまいました。

毛沢東の死後、苛烈な権力争いを制して1980年代~90年代前半のリーダーとして君臨したのが?(トウ)小平でした。彼は「改革開放路線」を打ち出し、経済成長を重視した政策をとることで今の中国経済の成長の基礎を築きます。

しかし同時に、この路線は1989年に天安門事件という激しい民主化運動を生むことにもなります。これを武力弾圧した中国は、しばらく世界から孤立気味になってしまいました。

第3世代は、?(トウ)小平によって後継者とされた江沢民(チャン・セミン)を中心とした世代です。彼らが中国政治を握っていた1990年代後半から、中国は高度成長期に入ります。一方、民主化を警戒した政府は、民主主義に対抗するものとしてナショナリズムの高揚につとめるようになります。

そして、2002年に中国共産党総書記に、2003年に国家主席になった胡錦涛(こきんとう、フー・チンタオ)はおもに1940年代に生まれたエリート層である第4世代のリーダーです。彼らを中心として、現在の中国政治が担われているのです。

「第5世代」の台頭

中国共産党常務委員
赤囲みの人物は共青団系、青囲みの人物はいわゆる太子党、緑囲みの人物は江沢民前総書記に近い「上海閥」。
そして、戦後生まれの「第5世代」がポスト胡錦涛をめざして台頭してきています。この第5世代には、大きく2つの流れがあります。

一つは「共青団」系の人々です。共青団とは中国共産党のなかにある「共産主義青年団」という組織です。共産党のエリート養成機関ともいわれます。胡錦涛も共青団出身です。

2007年10月の中国共産党大会で新たに最高意思決定機関である常務委員会のメンバーとなった李克強(りこっきょう、リー・ケキャン)は、1955年生まれの第5世代であり、1993年から5年間共青団中央第一書記を務めた人物です。

一方、「太子党」の台頭も目立ちます。「太子党」とは、共産党エリートの二世たちのことをいいます。やはり2007年10月に常務委員入りした習近平(しゅうきんへい、シー・チンピン)は、第1世代の大物を父に持つ1953年生まれの太子党筆頭格です。

今回の中国共産党大会では、この第5世代の台頭が目立ちました。胡錦涛政権は、この第5世代を互いに競わせながら、自らの求心力を高めようとしているようです。

「科学的発展観」と「調和社会」

さて、胡錦涛政権は「科学的発展観」を唱え、これを現在の共産党の基本理念に据えています。

科学的発展観とは、単に経済成長のみをめざすのではなく、調和のとれた持続的発展をめざす、というものです。1990年代からの高度成長でうまれてきたひずみ、つまり格差の拡大や環境破壊に対処しようとする考え方です。

そして、格差がなく良好な環境で人々が生活できる「調和社会」を実現することを、胡錦涛政権は目標としています。

逆に言えば、こういうことを政権がいわなければならないほど、中国の格差や環境破壊は深刻である、ということがうかがえます。例えば、農民と都市住民1人あたりの可処分所得の比率は、1985年には1:1.85だったものが、2003年には1:3.2までに拡大しています。農村と都市の格差解消は、とりわけ重要な課題です。

胡錦涛政権は、農村問題を「三農問題(農業・農村・農民問題)」としてとらえ、農業の近代化推進や農村金融の整備、農民への社会保障制度の確立などさまざまな対策をとっています。

しかし、農村対策はなかなか進んでいきません。その事情や、都市問題などについて、次のページで見ていきます

(執筆者:辻 雅之)

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