よくわかる政治

更新日:2007年09月02日

日曜日の政治用語:概算要求

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8月末で締めきられた各省庁の予算概算要求。概算要求とはいったいなんなのでしょう。日本の予算作成システムとあわせてお話ししています。

文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)

(記事掲載日/2007.09.02)

今週の政治用語解説は「概算要求」についてです。8月31日に2008年度予算の概算要求が締め切られたとありますが、これは予算のどの過程の話なのでしょう。予算制度の概略といっしょに、お話します。

各省庁からの予算希望=概算要求

概算要求作り
各省庁のなかでの概算要求作成プロセス。
概算要求とは、各省庁が「来年度はこれだけの予算が欲しい」と要求するもので、予算編成を担当する財務省に対して行います。

もっとも、この要求にはある程度の枠がはめられているため、べらぼうに大きな予算を要求することはできません。

まず「経済財政改革の基本方針」というものが、政府や経済財政諮問会議によって作られ、閣議決定されます。これがいわゆる「骨太の方針」とよばれるもので、2007年は6月19日に閣議決定されています。

このようなものや、財務省の財政制度審議会からの答申などを踏まえ、財務省が作った「概算要求基準(シーリング)」が閣議決定されます。2007年は8月10日に示されました。

各省庁は、このシーリングに沿って、予算の概算要求策定に着手します。

概算要求作りは5月から

とはいっても、実際の概算要求作りは、年度が始まってすぐ、5月から始まっています。

まず、各省庁の各課が、5月末をメドに次年度予算要求の編成を行います。そして、これを総務課に提出します。

その後は6月末までをメドに、上がってきた予算要求を各局の総務課が査定し、大臣官房の予算担当課(「大臣官房会計課」という名称が多い)に提出します。

大臣官房の担当課は、8月末までに査定を完了し、その省庁の概算要求書として財務省主計局に提出します。

このようにみると、各省庁の予算についての権限は、大臣官房を頂点に、各局の総務課が持っていることがわかります。

予算が成立するまで

2008年度の概算要求提出は8月31日に締め切られました。ここから、財務省主計局が各省庁の予算要求を査定していくことになります。

と同時に、政府の税制調査会や財政制度審議会の答申も行われ、予算編成に反映されるようになります。

こうして、だいたい12月をメドに査定を終了させ、20日に財務大臣が予算の「財務原案」を発表します。これに対し、要求がうまく通らなかったりした省庁は「復活折衝」を財務省との間で行います。

折衝にはレベルがあり、総務課長と主計局主査との「課長折衝」、局長と主計局主計官の「局長折衝」、事務次官と主計局次長との「次官折衝」、さらには大臣と主計局長との「大臣折衝」があります。

さらに、与党の幹部と財務大臣による詰めの折衝が行われる場合があります。これは「政治折衝」といわれます。

これを経て、1月に正式に予算の提出を決定する閣議が行われ、舞台は国会へと移ることになります。

2008年度予算の概算要求はどんな感じ?

財務省
歳出を減らしたい財務省、格差是正をテコに公共事業を増やしたい各省庁を相手に……?
財務省はシーリングで歳出削減を訴えていました。年金・医療費は7500億円の自然増加を5300億円の増加まで圧縮するよう求めていました。

また、公共事業については3%の減額、防衛費と国立大学・私学への助成金は1%の減額を示していました。

ただし、成長力の強化や地域活性化、教育再生や環境立国、生活の安全・安心といった重点政策については20%の増額を認めるとしていました。

そのため、結果的に公共事業費の要求は逆に21%の増額。参院選で争点となった「格差の是正」対策として、多くの予算要求が行われることになりました。

特に地方の抱える格差是正には「公共事業は不可欠」という考え方は根強く、歳出を圧縮して財政健全化を目指したい財務省と他省庁との考え方のずれが生じている形です。

今後、このあたりを財務省がどう判断し、どこまでを予算として盛り込もうとするのか、そしてそれをめぐって与党や政府幹部がどう動いていくかが、焦点となるでしょう。

★おすすめINDEX 「経済と政治」

※参考書籍・サイト
図説日本の財政 2001 加藤治彦 東洋経済新報社
行政学 1993 西尾勝
読売新聞
財務省サイト

(執筆者:辻 雅之)

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