文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
(記事掲載/2007.07.01)
毎週日曜日にお送りしている政治用語解説。今週は「IAEA」、国際原子力機関を取り上げます。北朝鮮問題から、日本の原発に関してまで何かと話題に上ることが多いこの機関の基礎知識。
IAEAのなりたちと活動目的
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| 原子力の平和利用を促進するIAEAの旗。 |
冷戦の進行とともに、米ソを中心とした核兵器開発が進んでいったなかで、1953年にアメリカのアイゼンハウアー大統領が国連総会で「平和のための原子力演説」を行い、核の国際的管理を唱えました。
これがきっかけとなり1957年発足したのがIAEA( Inyernational Atomic Energy Agency )でした。
IAEAの目的は主に2つです。1つは原子力平和利用の促進です。低開発地域についての開発援助も行います。
もう1つが核物質の軍事転用防止です。IAEA加盟国はIAEAと「保障措置」を結び、核物質の国際的管理と国際査察の受け入れ義務を負うことになっています。原子力発電所を多く持つ日本も、当然これを受け入れています。
また1986年のチェルノブイリ原発事故を受けて、「原子力事故通報条約」が締結され、IEAEを中心に、事故の早期通報、情報交換などの体制が整備されるようになりました。
現在、IAEAには141の国が加盟。本部はウィーンに置かれています。国連機関ではありませんが、国連総会に毎年報告書を送っています。
IAEAの国際査察
IAEAが加盟国にたいして行う査察は3種類あります。
1つは「特定査察」で、査察される国が提出する報告を検証するものです。2つめは「通常査察」で、報告と記録の一致や核物質があるとされる場所を確認したりします。
3つめが「特別査察」です。上の2つの査察内容のなかで何からの疑いが生じた場合行うもので、大規模な査察団を送り綿密な調査を試みます。これによって、原子力の軍事転用を阻止するのが狙いです。
現在、北朝鮮やイラクに対してIAEAが行おうとしているのが、この「特別査察」になります。しかし、両国ともになかなか応じようとしなかったり、非協力的であったりするのが現実です。イラク戦争の開戦理由の1つも、イラクの非協力的な態度にありました。
IAEAと原発の安全性
IAEAは同時に、原子力発電などに関する安全性について、いくつかの基準を作り、安全な原子力利用を推進してきました。
「原子炉施設に関する原子力安全基準(NUSS)」は、原発の立地や設計、運転の安全性に関するものとして、55の安全指針を設けています。
原発から生まれる放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」についても、「放射性廃棄物管理安全基準(RADWASS)」というものが策定されました。そのほか「電離放射線の防護及び放射線源の安全に対する国際的な基本安全基準(BSS)」、「放射性物質安全輸送規則」なども作られています。
IEAEと予算問題
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| 事務局長・エルバラダイ氏。IAEAとともに2005年ノーベル平和賞も受賞。 |
IAEAにとって深刻な問題の1つが、予算問題です。
IAEAの予算はここ10年でほとんど増えていません。2007年度通常予算はおよそ2.8億ユーロ、日本円で460億円ほどです。このうち、国際査察などを行う予算はおよそ1.1億ユーロを占めます。
もっとも、特別査察を行う際には別途予算が組まれます。北朝鮮に対しては、今後2年間で390万ユーロ(約6.4億円)の追加予算が承認されています。
このような状況なので、なかなか、各国の原発や原子炉の安全性についての業務が行き届かない、という問題が発生しています。
そのためIAEAは、特定の国を「軍事転用のおそれなし」として、査察回数を減らすことを行っています。日本は2004年、IEAEから転用可能性なしと認められ、査察回数が大きく減らされました。
このようななか、日本のような先進国が原発の安全性を確かめてもらうためIAEAにお願いするというのは、実はちょっと迷惑。超先進国なはずの日本、原発の安全性についても超一流でありたいものです。
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