よくわかる政治

更新日:2007年03月25日

日曜日の用語解説:公務員人材バンク

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公務員人材バンクを作って天下りのあっせんをなくそうという案が政府から出され、波紋をよんでいます。公務員人材バンク構想とはどのようなものなのでしょうか。そしてなぜそれが必要なのでしょうか。

文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)

(記事掲載/2007.03.25)

毎週日曜日掲載の「日曜日の政治用語」。「公務員人材バンク」制度が今国会に提出されようとしていて、大きな波紋を呼んでいます。いったいどういうものなのでしょうか。お話していきます。

天下りの政府一元的管理をはかる

省庁
依然として大きな問題である「天下り」に安倍内閣が大胆にメスを入れるか?
官僚の天下りは、依然として大きな問題となっています。

国家公務員法では国などと「密接な関係にある」「営利企業」への就職を、公務員退職後2年間禁止しています(第103条2項)。これに違反した場合は、「1年以下の懲役又は3万円以下の罰金」(第109条)となっています。これが、現行の「天下り禁止制度」となっています。

しかし、この制度は「甘い」といわれています。「密接な関係」でなければ営利企業に就職できるわけですし、そもそも「営利企業」以外の団体(社団法人など)には就職できるわけです。

そして、裏で2年後の再就職を約束しておいて、とりあえず非営利団体に就職し、2年後に「密接な関係のある」営利企業に就職することもできるわけです。

このようなことを是正するため、安倍内閣、とりわけ昨年暮れに就任した渡辺喜美・行政改革担当大臣を中心に、退職する官僚の再就職を「人材バンク」を使って一元的に管理し、不透明な天下りをなくそうとしているのです。

公務員人材バンク構想

政府の案では、公務員人材バンクを各省庁から独立した地位に置き、官僚の退職情報と、企業や団体の求人情報を独占する組織にしようと考えています。

つまり、官僚は退職後どこかに再就職しようと思ったら、必ず公務員人材バンクに登録しなければなりません。そして、企業や団体が退職官僚を受け入れようと思ったときも、必ず公務員人材バンクを通さなければならないということになります。これが政府の案です。

そして政府案では、公務員人材バンクの独立性を保つため、人材バンク職員の出身省庁の職員の再就職には関わらないように規定されています。最終的には、人材バンクの職員は各省庁から分かれて独自採用することをめざす、という案もあるようです。

省庁による「天下りあっせん禁止案」とそれへの反発

人材バンク構想
渡辺行革相が中心になって進めている人材バンク構想の概略。
そして政府案では、官僚の天下りを透明化するため、省庁や省庁の職員が、企業や団体に官僚の天下りをあっせんすることを禁止しています。

政府案ではこれに違反した行為について罰則を設ける方向になっていて、最大で懲役3年というのが3月現在の政府案の中身です。

つまり官僚の再就職はすべて人材バンクを通さなければならない、省庁や省庁の同僚・後輩たちが企業と直接話をして退職官僚を再就職させることはいっさいしてはならないということなのです。

しかし、これには強い反発があります。

霞ヶ関の官僚たちは、長年、省庁によるあっせんによって天下りを行ってきたという「慣習」があります。それが、人材バンクに移行してしまうと、退職官僚は長年働いてきた省庁のバックアップを一切受けることができなくなり、再就職に不安が高まる、と感じているのです。

安倍内閣の閣僚や与党幹部からも、あっせんの制限については賛成でも、すべてのあっせんをなくすのはよくないのではないか、官僚のやる気や士気を落とすような制度改革をすると、優秀な官僚はいなくなってしまうのではないか、という発言がでています。

天下り問題は「省庁終身雇用制」のひずみ?

日本の国家公務員制度は、基本的に省庁を「雇用主」とした終身雇用制がもとになっています。官僚がほかの省庁や地方自治体に出向することもありますが、あくまで「本籍」は出身省庁。官僚たちは国家よりも出身省庁を自らの「雇用主」として働いていくしくみになっています。

このようなことが続いた結果、省庁による「天下りあっせん」が定着してしまい、「人材バンク」なるものへの不信感がでてくるところがあるのです。

官僚はすべて内閣が一元的に採用し、「本籍(出身省庁)」を決めずに、いろいろな省庁を人材がいききする制度になれば、天下りあっせんというものもなくなっていくかもしれませんし、人材バンク制度への抵抗感もなくなっていくでしょう。

そういった意味で、公務員制度の根本に手をつけず、人材バンクだけの創設、という政府案は、ちょっと「小手先改革」かな、という感じもします。

★おすすめINDEX「省庁・役人・お役所事情」

(執筆者:辻 雅之)

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