社会ニュース/よくわかる経済

資本提携・業務提携と経営統合の違いとは

資本提携、業務提携、経営統合。大手スーパーのイオンとダイエー、大手百貨店の大丸と松坂屋HDのケースを用い、企業同士の協力体制の違いを見ていきましょう。

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
このごろの企業ニュースでよく聞くケース、「資本・業務提携」や「経営統合」。最近では、大手スーパーのイオンとダイエーが「資本・業務提携」、大手百貨店の大丸と松坂屋ホールディングス(以下HD)のケースは、「経営統合」。ところで、毎日のように耳にするこれらの言葉ですが、資本・業務提携と経営統合はどう違うのでしょうか?
<INDEX>
手始めに、「業務提携」(1P目)
お互いが独立、「資本提携」(1P目)
「イオン+ダイエー」は「業務提携」(2P目)
「大丸+松坂屋」は「経営統合」(2P目)
資本提携と経営統合の違う点(3P目)
消費者にとってどんなメリットが?(3P目)

手始めに、「業務提携」

握手
さまざまな業界で企業同士の協力体制が・・・
資本・業務提携の例は、10年越しのリストラで再建の道を探っていたダイエーがイオンと、家電量販店業界ではエディオンとビックカメラが、他にも鉄鋼、製紙業界などさまざまな業界で行われています。

提携には、資本提携と業務提携などがあります。資本提携と業務提携は同時に行われることもありますが、将来の業務提携をめざして、まず資本提携を行うケースも見受けられます。さらに、その先に経営統合の可能性も念頭においての業務提携も数多くあります。

資本提携の一歩手前である業務提携とは、その名の通り、企業同士が協力関係を契約することです。具体的には、技術開発や販売活動の協力などで、お互いに利益になるような関係になります。

お互いが独立、「資本提携」

さらに事業面での協力関係だけでなく、出資関係にあるのが資本提携です。提携する資本の規模は、持ち株比率の10%弱つまり経営支配権を有しない程度が一般的で、お互いの企業が株式を持ち合います。資本提携のポイントは、基本的にはお互いが独立していることを前提とする点。持ち株比率が10%弱であれば、関係を強化しながらも、独立性は保たれます。
 
株式を持ち合うといっても、一昔前の「持ち合い」と違う点は、資本提携をすることによって、事業の成果、利益面においてお互いに相乗効果があるところです。従来の株式持ち合いは、金融機関と事業会社の間や企業グループ内での持ち合いで、外部の者が株主になり干渉されることを防ぐ、経営上の目的で行われていました。

株式の持ち合いを伴う資本提携が、単なる業務提携と異なる点は、資本つまりお金を出しているために真剣さが違うといったところでしょうか。同業者同士の提携であればなおさらです。本来はライバル企業同士の提携ですから、表現は悪いのですが、お金を出し合うことで信頼度を確かめ合っているともいえます。

では、。次のページで、イオンとダイエー、大丸と松坂屋HDの事例で具体的に説明することにしましょう。
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