文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
(2005.07.27)
風雲急を告げてきた感じの郵政国会。はたして民営化法案は通るのか、それとも……ここで、郵政国会のヤマ場をむかえるにあたって知っておきたい基礎知識を急きょまとめてみました。
1ページ目 【政権側が急ぐ理由=「会期不継続の原則」の存在】
2ページ目
【「解散権」の原理、各国の議会解散、日本での議論】3ページ目
【「郵政解散」はあるのか……ゲーム理論「囚人のジレンマ」で考える】【政権側が急ぐ理由=「会期不継続の原則」の存在】国会の重要原則=「会期不継続の原則」
まず、国会には「
会期」というものがあり、この会期「ごと」に法案審議をしなければならないとされています。
国会法 第68条
会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。但し、第47条第2項の規定により閉会中審査した議案及び懲罰事犯の件は、後会に継続する。つまり、原則として、会期中に法案審議が「終了」しなければ、その法案はボツ、つまりよくいう「
廃案」になるわけです。
さて、上の第68条但書にある規定もみてみましょう。
国会法 第47条2項
常任委員会及び特別委員会は、各議院の議決で特に付託された案件(懲罰事犯の件を含む。)については、閉会中もなお、これを審査することができる。(下線は筆者による。)
これによって、次の国会まで引き続き法案審議を委員会内で行うことが出来ます(閉会時も)。これがいわゆる「
継続審議」ですね。
ただ、下線をつけたところを見ればおわかりの通り、議院の議決、つまり本会議での議決がなければ継続審議はできない。
反対派が盛り上がっている中、委員会での法案採決前にこれをやって「造反議員」が出て失敗する可能性も大いにあるわけで、郵政法案の継続審議、なかなか難しそうです。
8月13日までに採決できなければ民営化法案は「廃案」
国会の会期は、国会審議開始前までにあらかじめ決めなければなりません。また、常会、つまりいま行われている通常国会は、国会法によって会期が決まっています。
国会法 第10条
常会の会期は、150日間とする。但し、会期中に議員の任期が満限に達する場合には、その満限の日をもつて、会期は終了するものとする。結構長いですね。しかし、延長はできます。
国会法 第12条2項
会期の延長は、常会にあつては一回、特別会及び臨時会にあつては二回を超えてはならない。(下線は筆者による。)
すでに、現在の(第162回)国会の会期延長は行われていて、
8月13日までとなっています。
つまり、8月13日の午後11時59分59秒までに、本会議を開いて扇千景議長が「本案は可決されました」と言い切らないと、郵政民営化は「廃案」になってしまうのです。もうすぐですね。だからみんな慌ただしいのです。
「会期制」の由来と今日における意味
なぜ会期制があるのでしょう。
もともと、議会は国王など君主のものでした。国王は年がら年中議会が開かれて要求を突き付けられるのが嫌でしたから、会期を設けたのです。日本も、このヨーロッパの制度に従い、戦前から会期制をとってきたのです。
ところが、現在、会期制を廃止している国が多くなっています。議会でやらなければならないことがたくさんあるので、会期を決めてはいられないわけです。
日本も、夏休み(サラリーマンよりはたっぷりありますが)と選挙の時以外は、結構国会が開かれています。秋から年末にかけて臨時国会を開くのはもはや慣習化しています。日本も実質、通年開催だ、という人もいます。
しかし、会期不継続の原則は残っています。本来審議にさくべき労力を、会期をめぐるごたごたに終始してしまい国会の機能が不完全になるという批判があります。
しかし一方で、反対派の抵抗手段として会期不継続の原則は大切で、残すべきだという意見もあります。みなさんはどう思われるでしょうか。
◎「会期不継続の原則」会期中採決できない法案は基本的に廃案
