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金利の上げ下げはどう決まる?

3月の日銀による公的金融緩和の解除以来、次の話題はゼロ金利解除がいつか、ということに絞られていますが、金利が動くというのは、いったいどんなしくみなのでしょうか?

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
3月の日銀による公的金融緩和の解除以来、次の話題はゼロ金利解除がいつか、ということに絞られていますが、金利が動くというのは、いったいどんなしくみなのでしょうか?

<INDEX>
日銀が資金を供給するとは?(1P目)
金利が市場で決まるしくみ(1P目)
長い期間の金利は国債の売り買いがものさしになる(2P目)
「利回り上昇(債券価格は下落)」の意味(3P目)

日銀が資金を供給するとは?

お札
金利が上がる?ってどういうしくみ?
「供給」という言葉のイメージから、タダでお金をばら撒いているような印象を与えていますが、そうではありません。金融機関が持っている国債(主に短期の国債)や手形などを日銀が買うということを「資金の供給」と言っています。金融機関は、国債や手形などを日銀に渡す代わりにそれを売った代金を日銀から受け取ります。金融機関は、このお金を銀行が企業や個人などに貸し付けて、利息という収入を得ます。

このように、日銀が金融機関から国債や手形などを買って資金を供給することを「買いオペレーション(買いオペ)」といい、逆に金融機関に対して国債や手形などを売って、資金を吸い上げることを「売りオペレーション(売りオペ)」といいます。

金利が市場で決まるしくみ

日銀が買いオペ、売りオペをするのみでなく、お金が金融市場にたくさん余っているか、それとも足りないかで金利が決まっていきます。それぞれの金融機関からも、お金が必要ならば「お金を借りたい」、お金が余っているなら「お金を貸したい(金利を稼ぎたい)」というニーズが金融市場に寄せられます。

このしくみを、「お金という商品のオークション」と考えてください。

最近は、企業が設備投資といって新しい工場を建設したり、最新の機械を購入するなどの動きが見られます。そのためにはお金が必要で、そのお金を金融機関に借りることになります。個人にも、金利や不動産価格が上がりそうだから今のうちに住宅ローンを組もうなどといって、お金を借りる行動が見られます。

すると、金融機関が持つお金が足りなくなるので、他の金融機関や日銀からお金を借りるわけです。この時に借りるお金が金融市場の中で足りなくなってくると、どうしても借りたい場合は、「金利を高く支払うから、ウチに貸して!」と金利を吊り上げます。お金のオークションはお金に上乗せする金利が上下することで成り立ちます。

金融機関が、他の金融機関や日銀から借りてくる金利が高くなるのなら、貸す相手にも高い金利を求めます。結局、金利はお金に対するニーズがあるかないかと、そのためのお金が用意できるかどうかで決まっていくのです。これが、「需要と供給」です。

ただし、これは金融機関同士で「すぐにでも借りたいお金」のやり取りをしているオークションのこと。この説明は、「短期金融市場」という1年未満のお金の貸し借りのオークションの説明です。この「短期金融市場」は、普通預金や短い期間の定期預金の金利がこれに連動する形で、私たちの生活に影響します。

では、住宅ローンの金利や生命保険の予定利率など、長い期間の金利のめやすはどう決まるのでしょうか?そのしくみは次のページで!
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