文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
(2004.07.28)
日本人はイラクで泥沼にはまっているブッシュ大統領が今年の大統領選で再選されないと思っている人が多いようですが、意外や意外、大接戦なのです。ブッシュ大統領も苦戦していますが、再選の可能性も十分。なぜでしょう。
1ページ目 【大接戦を繰り広げる共和党と民主党、そもそもどんな人が支持する政党?】
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【イラクで苦戦していてもブッシュ大統領の支持が落ちないのはこんな理由】3ページ目
【「第3の男」の登場とヒスパニック系住民の動向が大統領選の結果を決める!?】●こちらも要チェック!
政治についての基本知識と基本用語 気になる地域(北朝鮮・イラク)【大接戦を繰り広げる共和党と民主党、そもそもどんな人が支持する政党?】今回も大接戦か、アメリカ大統領選
アメリカ大統領選、日本人はイラク問題で苦戦する
ブッシュ大統領が負けると思っているでしょうが、そんなことはありません。かなりの大接戦です。

この通り、ブッシュ大統領と民主党候補
ケリ-上院議員との差はわずか、逆転していることもあります。前回2000年の大統領選のように、大接戦でブッシュ再選、ということもなくはありません。
そこで民主党は7月26日から始まった民主党大会を大いに盛り上げ、民主党の大統領候補に内定しているケリー上院議員の知名度を上げ、ブッシュを突き放そうとしています。しかし、そううまくはいくでしょうか。党大会終了後の世論調査は大いに注目です。
結局、ブッシュ大統領とケリー上院議員のテレビ討論会で、すべてが決まることになるかもしれません。とはいえ、すでに8割の有権者が誰に投票するか決めているといいます。のこりの2割の浮動票が、大統領選の帰趨(きすう)を決めることになるのでしょう。
共和党ってどんな政党?
なぜこんなに大接戦になるのか、それは次のページで解説することにして、とりあえず基礎知識として、アメリカを2つにわける共和党と民主党の基礎知識を頭に叩き込んでおきましょう。基本的にアメリカ政治は、共和党と民主党の戦いですから。
ブッシュ大統領率いる共和党は、北部を地盤とし、南北戦争以前に残っていた奴隷制に反対してできた政党です。あのリンカーン、それから最近だとレーガンなどが共和党の大統領として有名ですね。
基本的には「
中道保守」です。比較的富裕層、お金持ちからの支持があります。また、カトリック・プロテスタント問わず敬けんなキリスト教徒の支持を多く集めています。いわゆる「古き良きアメリカ」を愛する人は、共和党を支持可能性が高いです。中絶を反対するような人は、共和党支持者が多いです。
北部が基盤でできた政党とはいえ、最近はその支持基盤を南部に移している観があります。また、カリフォルニア、テキサスなど西部の支持もここ十数年では強くなっています。
白人の支持が多いといわれていますが、今のブッシュ政権の陣容を見ればわかる通り(パウエル国務長官、ライス補佐官など)現在は黒人に冷たい政党というわけではありません。比較的豊かになった黒人たちの中には、ブッシュ政権を支持するものも少なくありません。
経済政策は「小さな政府」つまり政府の経済的役割を小さくした自由放任主義です。レーガン、ブッシュ政権と減税政策を行い、政府の財政規模を小さくしました。豊かな人びとには好評ですが、反面貧富の格差が開いたとする声もあります。
民主党ってどんな政党?
ケリ-上院議員率いる民主党は、西部の農民から大統領にまで登りつめ、民主政治を押し進めたとされるジャクソン大統領支持派が19世紀開いた政党です。
第1次世界大戦で「民族自決」原則を主張したウィルソン、ニューディール政策を押し進めたルーズベルト、黒人公民権を確立したケネディ、最近だとクリントンが大統領としては有名ですね。
基本的には「
中道リベラル」です。社会主義とまでは行かないが、革新的な気風があります。ベトナム反戦を唱えた人びとは、民主党を支持するでしょう。もっともベトナム戦争を泥沼化させたのも民主党政権(ジョンソン)なのですが。
とにかく、「進歩的な政策」を求める人は、民主党支持に回るでしょう。
南部に支持基盤があるとはいわれますが、年々その優位は失われつつあります。むしろ東部の、ニューヨークやシカゴ、フィラデルフィアやボストンなど大都市で優位を保っています。
もっとも日本と同じく、大都市には「無党派層」がつきもので、選挙で優位を保てるかどうかは流動的ですが。
マイノリティーに強く、特に黒人公民権を認めたケネディ、黒人雇用を史上最高にしたクリントンなどのおかげで富裕層以外の黒人は民主党支持に回るでしょう。黒人の牧師が、大統領予備選を最後まで争ったことがありました。
経済政策は「大きな政府」つまり政府の経済政策で経済をコントロールし、貧富の格差をなくしていこうとする政策です。もっとも、民主党優位だった1960~70年代に膨らんだ財政赤字を生んだ反省から、クリントン政権はそれほど政府の財政支出を増やすことはしませんでした。
なぜブッシュ大統領の支持は急落しないのか
さあ、次のページで、なぜブッシュ大統領が思ったより支持を集めているのか、考えていきましょう。