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なぜ年金制度はややこしいのか

未納議員たちは口々に言います。「今の制度はややこしい。」たしかにそうです。なぜそうなったのか、表の事情、裏の事情を交えて解説します。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【年金制度のややこしさ】
2ページ目 【年金を一つにすればすっきり】
3ページ目 【年金制度をすっきりできない裏の理由】

【年金制度のややこしさ】
別々に生まれた年金制度がややこしさのもと


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あれよあれよと、ついには100人をゆうに超えた国民年金未納の国会議員たち。国民年金の加入が20歳以上60歳未満のすべての人びとに義務づけられたのは今をさかのぼること18年も前の1986年。それなのに、そんなことも知らずに年金を未納で済ませていた議員たちがこれだけいて、それで「今年の国会は『年金国会』だ」とかいってたんですから、どうしたものでしょう。

とはいえ、年金制度が複雑なのは事実。わがAll About Japanの年金サイトでも、複雑な年金制度についてやさしく解説してくれてます。それも見ていただきながら、なぜ、こんな複雑な制度になったのか、政治の部分から解説していきましょう。

年金には大きく分けて、国民年金、厚生年金、共済組合とあるわけですね。これ、そもそもばらばらにできています。サラリーマンらが厚生年金ができたのが一番早くて1944年(何と戦争中)。公務員たちが加入する共済組合ができたのが1948年。その他の人をカバーするために国民年金が創設されたのが1959年です。

で、これら3つ(正確には共済組合は公務員、農林、旧電々・・・とあって1つではなかったのですが)がしばらく分立していました。ところがです。この3つの間の年金の格差や、国による補助割合のばらつきなどがじょじょに問題になってきました。これをなんとかするために、それまで任意加入、つまり年金を払っても払わなくてもよかった国民年金を、20歳以上60歳未満の国民全体の強制加入にしたのですね。

そして、国が一定割合の補助金(国民年金の負担額の3分の1)に固定され、不平等感もある程度なくなったわけです。まずはめでたし。

いや、これはそういうわけでもなかったのです。裏がありました。国民年金の財政事情が悪化していたのです。1983年と84年には赤字になっていました。これを解消するため、それまで厚生年金や共済組合保険だけを払ってきた人びとからも国民年金を収めてもらい、国民年金の財政を安定させようとしたのです。

そういうわけで、すべての20歳以上60歳未満の国民は、全員国民年金に加入することになったのですね。つまり、

・第1号被保険者 第2号、第3号以外の人
・第2号被保険者 雇われている人(厚生年金、共済組合にも加入)
・第3号被保険者 第2号被保険者の配偶者


ところがです。

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