文章:鳥羽 賢(All About「世界のニュース・トレンド」旧ガイド)
ここ数年は
原油価格が長期的に上がり続けています。そして2007~08年の冬は、原油価格の高騰のために日本国内の
ガソリン価格や灯油価格も上がり、家計を直撃しました。しかし原油高騰の影響はそれだけには留まっていません。原油が上がると世界にどのような影響が出るか検証します。
【CONTENTS】
勢力を伸ばす中東の産油国(1P目)アブダビ投資庁のマネーが世界を動かす?!(1P目)自動車業界は省エネ化が加速(2P目)バイオエタノールなど代替燃料は普及するか?(2P目)貧しい国からしわ寄せが来る(3P目)ガソリン値上げからデモが起こったミャンマー(3P目)勢力を伸ばす中東の産油国
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| 中東には、産油国が多く存在している。 |
原油高騰によって、産油国、特に中東諸国が非常に勢いを得ています。中東の産油国とは、イラク、サウジアラビア、イラン、クウェート、UAE(アラブ首長国連邦)などです。
IMF(国際通貨基金)の統計では、中東や中央アジアの産油国が原油の輸出によって稼いだ金額は、2007年には7500億米ドルで2001年の4倍にもなっています。これは原油高騰が産油国にいかに莫大な利益をもたらしているか示しています。
これがいわゆるオイルマネーで、オイルマネーによって潤った産油諸国は、次々と新しい開発プロジェクトに着手しています。現在中東諸国の各都市では、道路、住宅、学校などが、次々に建設されています。
アブダビ投資庁のマネーが世界を動かす?!
またオイルマネーは、金融の世界において産油国の影響力を高めています。その具体例の1つが、アブダビ投資庁の台頭です。アブダビとはUAEの首都のことで、アブダビ投資庁とは、UAE政府が運営する投資ファンドです。
言ってしまえば、かつて日本でも一世を風靡した村上ファンドのようなものなのですが、それを政府が運営しているという点が特徴です。外資系コンサルティング会社であるマッキンゼーによると、現在アブダビ投資庁が運用している資産額はなんと9000億米ドルにもなるということです。これは日本円にすると90兆円以上で、日本の国家予算をも上回っているのです!
アブダビ投資庁の名を一気に世界に広めたのが、昨年11月26日に発表された、アメリカのシティグループへの8000億円融資でした。8000億円とは途方もない金額ですが、アブダビ投資庁の全資産の割合としては1%にも達していません。
アブダビ投資庁の狙いとしては、世界有数の金融機関であるシティグループへの発言権を得ると同時に、米ドルの下落を止めるものがありました。原油は米ドル建てで決済されているので、あまり米ドルが下落すると産油国としても困るのです。
→次ページ。今度は世界の自動車業界への影響についてです。