■「不当値引き要求
消費者が支払う金額が基本的に変わるわけではないのですが、
便乗値上げを懸念する声もあがっています。
消費者が不利益をこうむらないように、政府はじめ当局は、物価動向を厳しく監視する必要があります。もちろん、消費者ひとりひとりが、チェックをするのは当然のことです。公正取引委員会は、小売業者がメーカーや卸業者に消費税分の
納入価格の引き下げを求めたり、値札の付け替えを納入業者に手伝わせたりする行為があれば、下請法違反にあたる可能性があるとしています。 総額表示方式の導入に伴って、値上げしたような印象を消費者に与えることを避けるための
不当な値引きを強要しないか、という監視が行なわれます。
■納税意識が薄くなる?
消費者団体からは、総額表示になると、
「税額が不明朗になれば税金を払っているという納税意識が薄くなる。導入は消費税アップをもくろむ国だけの都合」との批判や疑問が出ています。消費税込の総額だけを表示することにだんだん慣れてしまったら、
消費者の意識はどうなるでしょう?昨年、たばこ税や発泡酒の酒税が引き上げられたのは記憶に新しいですが、それが一体何%の税率なのかを知っている消費者はどれくらいいるのでしょう?消費税も、いつの日か、支払い代金のうちの消費税額がいくらなのか、意識が薄れてきてしまうのではないでしょうか。ましてや、品目によって税率が変わるようなことになれば、なおさらでしょう。
■「年金制度改正の話題を思い出してみて!
このように、
総額表示だと消費税額がわかりにくくなるため、将来の税率引き上げに向けた布石との見方が少なくありません。年金制度改革の話題では、
消費税が年金の財源としてターゲットにされていることを思い出してください。基礎年金の財源のうち、現在3分の1を税金で賄っているわけですが、これを将来2分の1まで引き上げる、というあの話です。
この引上げ分を、もし、全部消費税で賄う場合、11兆円ほどの資金が必要で、消費税を9%程度にする必要があるといわれています。高齢化が進むにつれ、税率が上がっていくとしたら、総額表示にしたことで、消費税額がうやむやにされて、増税しやすくなる、という見解です。これに対しての財務省の説明が、冒頭の谷垣財務相の、
「消費税率引き上げにつなげるという意図はない」となるのです。財務省は、あくまでも
「価格表示によって生じていたわずらわしさが解消され、消費税に対する国民の理解を深めてもらうことにつながる」と説明しています。「透明性」が重視される時代になってきているにもかかわらず、「総額表示」という時代に逆行する改正をする意図は、どこにあるのでしょうか。
★「ケイザイと私のおサイフ」シリーズ★
(1)「ルイ・ヴィトン的経済学」
(2)「負担?恩恵?今年ここが変わる!」
(4)「コンビニで株が買える?」