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カスピ海は海か湖か?(2ページ目)

カスピ海は海か湖か? これが結構重要な問題なんですね。なぜか? 海と湖で異なる国際法の扱い。それをめぐる周辺国の利害。くわしく解説してみました。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【日本より大きな湖、カスピ海は実は海?】
2ページ目 【カスピ海が海か湖かでこんなに違うイランの事情】
3ページ目 【実はカスピ海は「第二のペルシャ湾」だった!?】

【カスピ海が海か湖かでこんなに違うイランの事情】
国際法の「盲点」か、こんなに扱いが違うなんて


国際法には、「国連海洋法条約」というものがあります。これは、海についての国際法を定めたもので、5年前に正式に発効しました。たとえば領海は沿岸から12海里までとか、そういうことが明文化されています。

領海の他にも、沿岸国は水産資源や地下資源を優先的に自分たちのものにできる「排他的経済水域」というものをつくることができます。これは、200海里(約370キロ)までとなっているのですが、相手国までの沿岸までが近くて200海里とれない場合は、沿岸からの中間点までを境とするように決められています。

もし、カスピ海を「海」と考えて、排他的経済水域を設定すると、「海岸線」の小さなイランには不利になってしまいます。

いっぽう、カスピ海を海洋法条約で規定されていない湖と考えると、慣習的に沿岸国で均等に分割するべき、ということになります。このほうがイランには有利です。

しかし、ロシアなどほかの沿岸国は、あくまでカスピ海は海である、と主張し、自国の排他的経済水域をできるだけ大きくしようとしています。

 

この問題を打開するため、2002年4月に「カスピ海サミット」が開かれ、沿岸5カ国の首脳会談が実施されましたが、議論は平行線のまま。なかなかまとまる気配がありません。

なんで、カスピ海に各国ともこれだけこだわるのか? カスピ海は実は「宝の山」だったのです! 次のページで説明していきましょう。
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