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金利が下がると景気が良くなることが多い! 金利と景気の関係は?

【早わかり金融-3】今回は、金利と景気について。金利が下がると、通常は景気が良くなる仕組みがあります。

執筆者:石川 秀樹


★ポイント★
1. 金利を低くすると、多くの場合、消費や投資が増え、その結果,生産が増える。
2. 生産が増えれば,失業が減り,国民の所得も増え、私たちの生活は改善する。
3.しかし、現実経済は複雑であり、必ずそうなるとは限らない。


すでにお話ししたように、金利は貨幣のレンタル価格で、貨幣の需要と供給により決まります。貨幣の需要や供給が変われば,金利も動きますが,この金利が動くことによって私たちの生活にどのような影響を及ぼすかを考えましょう。

1. 金利が下がると、預金をしている人は利子が減るから不利です。特に,過去に貯めた財産の利子で暮らしている人の生活は苦しくなり、消費は減るかもしれません。このような人は高齢者に多いと思われます。

2. 金利が下がると,定期預金などの魅力がなくなりますので,危険を冒しても株式などを買って儲けようという動きが出てきますので,株価は上がる、という可能性が大きくなります。株価が上昇すると、株で儲かる人が増えるので,その人たちの消費は増えます。

3. 金利が下がると、住宅ローンの金利が下がるのでマイホームを購入する人が増え、住宅投資が増加します。同様に,企業も資金が借りやすくなり,資金を借りて設備投資を増やします。このようにして、経済全体の投資も増加します

4.全体としては、1の消費の減少よりも、2、3の消費、投資の増加の方が効果が大きいと考えられ,注文が増えるので,それに合わせて生産も増えます。経済全体では国内総生産(GDP)が増加します

5. このように、金利を下げると、多くの場合,生産量が増加し,国内総生産も増加します。生産量が増加すれば,企業は労働者をたくさん雇うようになり失業は減少し,企業収益も改善し,社員の給料も上昇していくことでしょう。

経済の理論では,以上の2~5のようにして、金利引下げが,景気をよくし、私たちの生活を改善していきます。

しかし、以上の議論は、金利以外の経済環境(他の条件)が変わらないという前提です。金利を下げても,同時に金融危機などが起こってしまえば,金融危機などの影響で景気が悪くなることもあります。現実の経済は,金利以外にも,色々な経済環境が変わっていますので,2~5のように単純な結果になるとは限りません。

また、金利を下げても景気が良くならないこともありますが、それについては、金融政策の箇所でご説明したいと思います。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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