文章:石川 秀樹(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
★ポイント★
田中知事=土木業界の敵と思っていませんか?しかし、実は、田中知事の「脱ダム」政策は、長野県に、ダムに頼らない新しい治水事業のノウハウを蓄積させ、長野県の土木業界を飛躍させる可能性があります。
知事失職、知事選にまで発展した田中知事と県議会の対立。世間では、「田中知事=脱ダム=反土木業界」VS「県議会=ダム派=親土木業界」という図式で報道されています。しかし、長期的な視点から冷静に見ると、「田中知事=脱ダム=土木業界育成」VS「県議会=ダム派=土木業界の発展阻害」という逆の結果になりそうです。
県議会の保護で土木業界は生き残れるのか?長野県の財政は
オリンピックの財政支出の後遺症もあり破綻寸前。県が行う公共工事は減少せざるを得ません。ですから、相変わらず、従来型の公共工事に頼っていては、土木業界に明日はありません。つまり、県議会の政治的圧力を利用しダムを建設し、従来型の事業だけをやろうという考えでは、ジリ貧は目に見えています。
脱ダムは土木業界再生のチャンス!?むしろ、「脱ダム」政策を利用して、日本でいち早く、ヨーロッパでは研究が進んでいるダムを用いない治水技術を蓄積し、その分野で日本を席巻すれば、海外にもビジネスを展開できる可能性もあります。手順としては、以下のようになるでしょう。
まず、「脱ダム」について、その技術的可能性、環境への影響、コストなどを知る必要があります。「脱ダム」についての正確な理解なくして、「脱ダム」の議論をしても、不毛としか言い様がありません。そこで、
1.「脱ダム」のための研究所を長野県の大学に作る。
2.研究所で、早急に、「脱ダム」に関する海外の技術や施工現状を調査し、色々な河川に応じた技術を開発する。
3.ある程度、技術的な確認できた時点で、実際に、試験工事を行う。
*もちろん、対象となる河川と流域の地形などを十分に考慮して、試験工事を行わなくてはならないことはいうまでもありません。
4.試験工事がうまく行けば、本格的に事業として展開。
しかし、「これだけのことをやるとなると予算がないと・・・」という声が聞こえそうです。しかし、脱ダム派の知事は、支援するでしょうし、国にも、土木業界の「構造改革」ということで申請すれば、従来型の公共工事よりは予算が取りやすいのではないでしょうか。
「脱ダム」には、県民だけでなく、多くの国民も共感しているようです。この流れを土木業界が政治力で止めることはできないでしょう。そうであれば、土木業界も、この流れを認め、この流れを利用し、ビジネスの拡大を図るべきではないでしょうか。
変動の時代に生き残る企業の条件は、環境変化への対応力と、変化をチャンスと考え利用する力です。
土木業界に本当に求められているのは、ダム建設を守る政治家ではなく、環境変化への対応力と、変化をチャンスととらえ事業を推進するしたたかさなのではないでしょうか。
変動の時代には、現状維持のリスクも大きいしかし、「新しいことが成功するとは限らないからリスクがある」という人もいるでしょう。しかし
、現状維持を採用することのリスクもあるのです。変わるもリスク、変わらぬもリスクなのです。特に、変動の時代には、変わらぬリスクは大きくなります。これは、土木業界だけでなく、すべての業界に当てはまります。私自身も気をつけなければと思っています。
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