文章:辻 雅之(All About「よくわかる政治」旧ガイド)
(2001年12月3日)
1ページ目 【これが小泉内閣作成の「総合雇用対策」だ!】
2ページ目 【日本経済の爆弾、不良債権問題が大失業時代の引き金に?】
3ページ目 【国民の人気取りに苦心の小泉首相は不良債権処理を断行、雇用を守れるか?】
【これが小泉内閣作成の「総合雇用対策」だ!】 「構造改革には痛みがともなう。」 しかし実際、改革といえばわずかに7特殊法人の廃止・民営化が決まったという程度。なのに株価は大きく値下がりし、失業率が5%を超えなおも上昇するなどその「痛み」の部分だけは先行して現われてきています。
そんななか、小泉内閣は9月20日に「
総合雇用対策」を発表。この対策は(1)雇用の受け皿を作る、(2)雇用ミスマッチの解消、(3)セーフティーネットの整備、以上の3点を解決することによって、雇用不安をなくそうとするものです。
ここではまず、この総合雇用対策について、かんたんに解説していきましょう(→政府による総合雇用対策についての説明はこちらから)。
(1)雇用の受け皿作り 失業率を減らす効果的な対策の1つが失業者に新たな雇用を提供することなのはいうまでもないわけですが、不況のなかそんなことがかんたんにできれば苦労はしないわけです。
総合雇用対策では、その
雇用を保育や介護、医療、環境に求めようとしています。たとえば保育園が不足して数万人の子どもが保育園に入れない「待機児童」になっているという。だったら保育園を増やせば、待機児童が減り、しかも保育分野の雇用もうまれて失業者が減る。こんなかんじで政府による公共的分野でのサービス事業への援助によって、雇用を増やそうということです。
また、新しく事業を起こす人や企業を支援し、この面からも雇用を増やすということにも重点が置かれています。特に今回の対策では
大学のベンチャー育成に力を入れています。技術の裏づけのある「実力のある」ベンチャーを育成しようということのようです。
(2)雇用のミスマッチ解消 失業率の高さの背景には、「失業者が求める仕事と、企業が求める人材の間のギャップが大きい」こともあるようです。これが「雇用のミスマッチ」です。失業者は中高年が多いのに、求人は若者対象のものだけ、こんな今の状況がまさにこれです。
これを解消するためには、企業の協力も大事ですが、それ以上に失業者が能力を磨き、企業の求めに答えられるようにする必要があります。それをサポートするため、今回の対策では
職業訓練制度の充実が大きくもりこまれています。
また、企業が気軽に雇用できることも必要ということから、対策では派遣労働の拡大、とりわけ
中高年の派遣労働の拡大を目指すことが盛り込まれています。
職業紹介業の規制緩和も検討することになっています。
(3)セーフティネットの整備 景気がこれまで以上に悪化することを考え、失業の不安を最小限にとどめるための政策がセーフティネット(安全網)です。総合雇用対策では
失業者の生活支援や就職支援の充実、中小企業の雇用支援などが盛り込まれています。
また、総合雇用対策ではもりこまれませんでしたが、失業率のさらなる悪化にともない、仕事をわけあって雇用を守るという「ワークシェアリング」方式や、雇用保険支給期間の延長も、セーフティネットの一貫として検討されはじめているようです。
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すでに一部の政策は補正予算によって予算が組まれたり、法律の改正作業を行ったりして実行に移されつつあります。来年度(平成14年度)の予算作成作業をへて、本格的に稼動するものと思われます。
意外としっかりやってるじゃん、という感じの雇用対策ですが、しかしこんな努力をふきとばしかねない爆弾が日本経済には眠っていることを忘れてはなりません。次ページで、解説していきます。