よくわかる経済

更新日:2002年03月16日

デフレ対策の最終兵器!? インフレ・ターゲット

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デフレを克服する方法として、最近話題のインフレ・ターゲットについて、内容と問題点を解説し、通常のインフレ・ターゲットより強力なデフレ対策をご紹介します。

文章:石川 秀樹(All About「よくわかる経済」旧ガイド)

(目次)
1ページ  【インフレ・ターゲットとは】
       【インフレ・ターゲットの問題点】
2ページ  【日銀が株を買い上げるのが、最強のデフレ対策】
3ページ  【日銀の株買い上げの問題点】

【インフレ・ターゲットとは】

現在のデフレ経済を脱出する方法として真剣に議論されているのが「インフレ・ターゲット」です。この「インフレ・ターゲット」は、ある程度のインフレとなるまで日銀は紙幣を増やし続けるという政策です。日銀がどんどん紙幣を増やせば、世の中に多くの貨幣が出回り、人々は物を買うようになり、景気はよくなり、物価は上昇しインフレになる、という理屈です。

【インフレ・ターゲットの問題点】

しかし、この考えには、
(1)日銀が紙幣を増やしても銀行が貸出さなければ、世の中に貨幣は出回らない、
(2)仮に銀行が貸出そうとしても、この不況時に借り入れしてまで物を買おうという企業や個人がいないのではないか、
という2つの問題点があります。

以上の2点を考えれば、日銀が紙幣を増発するだけの「インフレ・ターゲット」は現実的ではないと思われます。しかも、仮に、インフレ・ターゲット論者の言うように物価が上昇しつづけ、インフレになったとして、今度は、さらに、次の(3)(4)のような問題点もあります。

(3)日銀がインフレを管理できずに、今度は激しいインフレで苦しむのではないか。

終戦後の日本も、第1次世界大戦後のドイツも、そして多くの途上国も、巨額の政府債務をインフレにより帳消しにしてきた歴史があります。しかし、同時に、経済は激しいインフレで崩壊してしまったのです。このような事態を防ぐために、先進国では、通貨の発行は、政府から独立した中央銀行に任せているのです。

現在のところ、日銀はインフレ・ターゲットに反対しているのですが、日銀法を改正してまで、日銀にインフレを起こさせようという主張もあります。そこまでして、インフレ・ターゲットを導入する場合には、取り返しのつかないインフレで経済崩壊の危機につながらないないように十分注意する必要があります。

(4)通常、金融政策は効果が出るまでに半年から2年かかる。

今行なう政策は半年から2年後に効いてきます。ということは、インフレを起こす政策を行ない、それが有効であったとしても、半年間は景気対策としての効果はなく、逆に、半年から2年後には景気がよくなっていて、かえって、インフレを助長する恐れもあります。

「デフレの時代にインフレの心配なんて」と思われる方も多いでしょう。しかし、思い出していただきたいのは、バブル景気のときに、地価高騰対策として行なった金融引締め政策の効果が、バブル崩壊後になって効いてきたからこそ、平成不況は本格化してしまったのです。つまり、バブル景気のときに、本当は不況の心配もする必要があったのです。ですから、デフレの今からインフレの心配をする必要があるのです。

(執筆者:石川 秀樹)

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