社会ニュース/よくわかる経済

★2002年★経済キーワード【3】 デット・デフレーション

デフレと言えば「デフレ・スパイラル」が有名ですが、より深刻なものに「デット・デフレーション」があります。実は、これが、不良債権の増加や財政危機の深刻化の原因なのです。

執筆者:石川 秀樹


(目次)
1ページ  【デット・デフレーションとは?】
2ページ  【不良債権も財政危機も根っ子は同じ!?】
【デフレ対策の特効薬?インフレターゲット論】




【デット・デフレーションとは?】

デット・デフレーションのデット(debt)とは債務(借金)、デフレーションとは物価の持続的下落です。そして、デット・デフレーションとは、デフレによる債務負担の増加とデフレの悪循環をいいます。これを極端な例で考えてみましょう。

1億円の借金をした後、ものすごいインフレで電車の初乗り料金が1億円になったとしましょう。すると、1億円の価値は大幅に下がり、1億円の返済は電車の初乗り料金程度の代金を返せばよいことになります。つまり、1億円の借金の負担はほとんどなくなることになります。

逆に、1億円の借金をした後、物価が半分に下落すると、物の価格や給料などは半分になりますが、借金の金額だけが変わらないので、借金の実質的負担は2倍となり、借金を返済しづらくなります。

以上のように、インフレは債務の負担を減らしますが、逆に、デフレは、債務の負担を増加させ、企業や個人の破産を増加させます。そうなると、投資や消費などの需要も減少し、さらに物価が下落し、企業倒産が増加し…と、デフレと倒産の悪循環が起こります。

しかも、この悪循環は、企業のコスト削減努力により生じる「良いデフレ」の場合にも生じるおそれがあります。つまり、「良いデフレ」と言われる場合でも、債務負担の増加という問題点まで考えると「良いデフレ」といってよいのかわからないということになります
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます