文章:鳥羽 賢(All About「世界のニュース・トレンド」旧ガイド)
預言者ムハンマドの風刺画
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| ただの漫画が国際問題に発展してしまった |
現在世界の各地域で、イスラム教徒による大規模な抗議活動が起こっています。大使館が放火されたり、デモが行われたり、中には多数の死者を出した国まであります。
なぜこんなことになったのかというと、欧州諸国の新聞がイスラム教の預言者であるムハンマドを風刺する漫画を載せてしまったからなのです。この漫画は最初にデンマークの新聞である『ユランズ・ポステン』に昨年の9月に掲載されました。この漫画はムハンマドの頭にある
ターバンが時限爆弾になっており、見方によってはムハンマドがテロリストであるかのようにも見えます。
この漫画が掲載されることになった経緯は、ユランズ・ポステン紙が25人の漫画家に「あなたに
ムハンマドはどう映るか?」というテーマで作画を依頼したことに始まります。そしてその中の12人が依頼に応じて漫画を描きました。その中には本当は描きたくなかったけれども、拒否すると臆病者だと思われるので描いた漫画家もいるとされています。
イスラム教徒の怒りが爆発
幸いなことに、最初はまだこれといった騒ぎにはならなかったのですが、今年に入って、その漫画が欧州諸国の複数の新聞に転載されることになりました。転載されたのは、ドイツ、フランス、ノルウェー、イタリア、オランダ、スイス、スペイン、チェコなどの新聞で、欧州の主要国の大部分を占めています。
中にはフランスの
ルモンド紙のように、別の風刺画が掲載された新聞もあります。リンク先の右側にあるのが、ルモンド紙に掲載された風刺画です。この風刺画は「私はムハンマドの顔を描けない」という文字が集まって、全体としてムハンマドの顔を描くような形になっています。右の「Agrandissez l'image」をクリックすると、拡大画像が表示されます。
掲載が拡大したことによって、2月になってから中東のイスラム諸国の国民は怒りを一気に爆発させてしまいます。特に最初に漫画を掲載したデンマークへの怒りが強く、デンマーク国旗を燃やしたり、デンマーク製品の不買運動が始まるだけではなく、シリアやレバノンではデンマーク大使館への放火まで拡大しています。
さらに抗議行動は世界の各地域に広まり、アジアでもアフガニスタン、パキスタン、香港、インドネシアなどでイスラム教徒が大規模に抗議やデモを行っています。
またアフリカのナイジェリアでは、風刺画を発端とした暴動によってこれまでに少なくとも数十名が死亡したとされています。ここではイスラム教徒による抗議行動だけではなく、キリスト教徒の報復によって多数の死者が出ています。日本はイスラム教徒が少ないために、幸運にも大きな騒ぎにはなっていません。
→次ページで西洋キリスト教世界との価値観の違いについて見てみましょう。