営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

お客さんが「お返し」したくなる関係を作るには(3ページ目)

最終的にお客さんから受注をいただくためには、友好的関係と信頼関係を築かねばなりません。少しずつそれらを積み上げていくために必要な法則を今回はお伝えします。

西野 浩輝

執筆者:西野 浩輝

営業ノウハウガイド

応用編:大きなオファーの後に小さなオファーを繰り出す

商談をしていると、「お客さんに対して、かなりいい情報を提供できたな」と実感できるときがあるはずです。お客さんの表情も、とても満足そうです。こんなときは「返報性の法則」の応用テクニックを使うチャンスです。

応用テクニックでは、まずお客さんに対して少し大きめのオファーを出してみます。例えば、「当社で発売された新商品を、ぜひご購入いただけないでしょうか」というように。

お客さんとしては、「営業マンから貴重な情報をもらったらか、こちらも何かお返しをしたい」という気持ちになっているとはいうものの、さすがに新商品の購入を即断即決で決めるのは無理です。おそらく「ちょっと今の段階では、それは難しいですね」という答えが返ってくるはずです。

そこで営業マンは、「では、どなたか商品のご案内に伺える関連会社の方を紹介いただけないでしょうか」と、今度は小さめのオファーを出します。実は営業マンの目標は、最初から「誰かほかのお客さんをしてもらうこと」にあります。すると相手は、「新商品の購入は難しいけど、紹介ぐらいだったら」ということで、紹介してもらえる確率がぐっと高まるわけです。

つまり「返報性の法則」が働いている相手の心理を利用して、大きなオファーの次に小さなオファーを出すことで、確実に小さなオファーを実現する。これが「返報性の法則」活用の応用テクニックです。

ただし最初に大きなオファーを出すといっても、あまり無茶すぎるオファーだと、お客さんは「この営業マンはいったい何を言いはじめるんだ!?」という心理になりますので、そこだけは注意してください。

私たちは、誕生日やバレンタインデーなど、プライベートでもプレゼントの交換をよく行っていますが、文化人類学者の研究によれば、古代社会や原始社会においても人々の間で宝物の交換が行われていたそうです。

「相手から何かをあたえられたら、お返ししたくなる。お返ししなければいけないと思う」という心理は、どの時代のどんな人たちの間でもみられる普遍的な現象といってもいいでしょう。

ぜひ「返報性の法則」を、日々の営業シーンにうまく取り入れてください。


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