文章:楠瀬 誠志郎(All About「ボイストレーニング」旧ガイド)
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| 息を合わせることが、気持ちや行動も合わせることになるのです。 |
「息を合わせる」「息の合ったチーム」などという言葉があるように、呼吸の仕方は人間関係にも大きな影響を与えています。うまく息を合わせることができれば、抜群のコンビネーションやチームワークを発揮して、大きな仕事をやり遂げることもできます。しかし、息が合わない相手とは、仕事でもプライベートでも、なかなかうまくは行かないものです。
「どうすれば苦手な相手とうまくやれるのか」「職場のチームワークをよくするには?」、こうした悩みは誰にでもあるものですが、実はそれは呼吸の問題でもあるのです。この項では、人間関係をスムーズにし、ビジネスを成功させるための呼吸について述べていきましょう。
呼吸のしかたは3種類
相手とうまく協力できるようにする、つまり相手と息を合わせるために、まずは呼吸のしかたを少し詳しく見てみましょう。私たちが息をするときの動作は、実はシンプルで、3つの言葉だけで表せます。「吸う」「吐く」そして「とめる」です。呼吸とは、この3つの動作の組合せ、そして繰り返しです。
息を合わせるとは、この3つの動作のタイミングを、相手と合わせることなのです。お互いに同じタイミングで吸い、同じタイミングで吐く、そして息を止めるところでは一緒に止める、こうすることで、行動や気持ちも自然とそろってきます。
なぜ息を合わせることが、気持ちや行動も合わせることになるのでしょうか。それは呼吸が心身の状態と密接に関係しているからです。
そのことを説明するために、ひとつの例を挙げましょう。マラソン選手になったつもりで、スタート地点に立ち、走り始めるところを想像してみてください。「位置について、用意、ドン!」で一斉にスタートしますが、このとき、呼吸の動作はどうなっているでしょう。誰もが「位置について」で息を吸いながらスタートラインに立ち、「用意」で息を止めて体を構え、「ドン!」で息を吐きながら走り出すはずです。
この、呼吸と気持ち、行動の関係をまとめると次のようになります。
「吸う」……準備する、イメージする、考えを広げるなど行動の前段階
「とめる」……構える、スタンバイする、緊張するなど行動の直前段階
「吐く」……緊張がゆるむ、スタートする、表現するなど行動の発散段階
これを見ると「息が合わない」と、なぜペアワークやチームワークがうまく行かないのかがよく分かります。いっしょに行動すべきときに、ひとりは息を吐き、ひとりは吸っていたのでは当然、行動も合いません。全員が息を止めているときに、ひとりだけ吐いている人がいては、チームワークを乱すもとになります。
次ページではこの3つの呼吸の特長と、相手との合わせ方を、日常生活のシーンでさらに具体的に見てみましょう。