文章:立川 亜美(All About「話す技術・伝える技術」旧ガイド)
ビジネスシーンで、誰かと一緒に仕事する。また、人を動かす。そのとき難しさを感じたことはないでしょうか? 自分でやった方が楽だし、早いし……。これでは、チームでの仕事はうまく進みませんね。
今回は、農林水産省という肩書きを捨て、福井県池田町役場に転職。町を活性化することに成功した溝口淳氏に「人を巻き込んで一緒にするには……」「人の気持ちを動かすにはどうしたらいいのか」について伺ってみました。
池田町は現在、人口が減少し3,500人ほどに。しかし、生ゴミ回収ボランティア「環境Uフレンズ」や「環境パートナー池田」などの団体を中心に町づくりを行い、その取り組みが評価され「環境大臣賞」「農林水産大臣賞」を受賞。今では町を巻き込んでのイベントをされていますが、10年前、農林省を退職して池田町での取り組みに参加したときに、ご苦労はなかったのでしょうか?
自分から距離を作らない
——はじめて池田町の人たちと付き合うときにはどうでしたか?
溝口: |
| 自分から殻に入ってしまっていた事に気づいたことも。とても陽気な正確な溝口氏でもそうだったのは驚きでした。 |
国(農水省)から来た、というだけで町の人たちはちょっと構えていましたね。そんな時、こんな風にやったらいいか、とテクニックを考えるのは、マイナスなんですよ。腹を割り、本音を言わないと人との関係は出来ないんですね。はじめて人と関わるときには、僕はいつも「とにかく一生懸命やるしかない」と思っているんです。
——なるほど。それは溝口さんの性格だから出来るのでは?
溝口:多少はあるかもしれません。でも、農水省に入ったときは3ヶ月くらい本音も言えずにいたんです。それは、関西から東京に来て、なんだか冷たくされているとか阻害されていると感じてしまって。言葉使いや環境になじめずにいたんですね。人生で一番話さなかった時期です(笑)
でも、しばらくして大阪出身の上司になりまして、徐々に本音も言えるようになってきたんですけどね。結局、自分が距離を置いていたんだと。人との距離を縮めるには、自分が距離を作ってしまっては駄目だと思いますね。池田町に行ったときには、そこを気をつけましたね。
——それで、町の人たちとも一緒にやっていかれたんですね
溝口:ところが知り合いになるのと、一緒に仕事をするのは違うんです。仕事の同志を作るのは、腹を割って話すだけでも駄目だったんですね。だから、一年目は本当に悩みました。どうやって、彼らにわかってもらい行動してもらえるのだろうかと。当時、「人を動かす企画書の書き方」と言うような本をたくさん買って勉強して、なんとかしようとしてましたね(笑)
次のページで、具体的にどうしていったのかを、ご紹介しましょう。